特集
MODERN WORKERS / 新世界 檳榔の夜
「ナイジェル・ケーボン」が考えるモダンワーカーとは、“ワーク”と“ライフ”、その両方にスタイルを持っている人のこと。この連載では、国内のローカルエリアに焦点を当て、各地で活躍するモダンワーカーの日常に迫る。 今回の舞台は福岡県。2003年にオープンした台湾料理店「新世界 檳榔の夜(シンセカイ ビンロウノヨル)」の店長、上薗 哲哉氏を訪ねた。 お客様のサポートに徹して店のファンを増やしていく 上薗氏の理想は、目配り気配りが行き届いた気の利く台湾料理店。長く愛される店を目指して、料理の味だけではなく、店の雰囲気づくりやサービスの質にもこだわる。 「痒いところに手の届く接客を心がけています。例えば、箸を落とされたらすぐに清潔なものと交換するとか、グラスが空になっていたらドリンクを注ぎにいくとか。お客様に店のファンになってもらえるように、もしもスタッフが入れ替わってしまっても、サービスは同じクオリティーでご提供できるようにしたいんです」 失敗の原因を追求し、その度に働き方も改善してきた 上薗氏が料理を始めたのは、「新世界 檳榔の夜」のオープンから。それまでは、同じ系列のバーでバーテンダーをしていた。当時の博多駅周辺では台湾料理専門店は珍しく、オープン直後は来客万歳の状態が続いた。しかし、数年経つと客足が徐々に遠のき、上薗氏は飲食業界の洗礼を浴びることに。 「料理の修行を積んだわけでもなく、最初の1、2年は失敗の連続でした。不味いと言われて、お客様に帰られてしまった経験もありますね。でも、そうやって失敗するたびに、自分の行動を振り返って、少しずつ営業の仕方を変えてきたんです」 アンダーグラウンドな台湾屋台のムードを博多で再現 コンセプトは、台湾の飲み屋街の路地裏にある屋台。博多市警固エリアの住宅街の奥まった一画にあり、店の目印は大通りに配された青いスタンド看板のみ。店の入り口は大通りから横道に逸れた、わかりにくい場所にある。 店内は異国情緒あふれるノスタルジーな雰囲気で、台湾の街並みやカルチャーを感じられるディスプレイに心がおどる。夜になるとカラフルな電飾が輝き、昼間とは違った顔に。スパイシーで香ばしい独特の香りが店内に漂い、まるで現地にいるような気分で台湾料理を楽しめる。 「台湾は活気があっておもしろい。なかでも好きなのは、薄汚れた路地裏エリアで、台湾に行くときは必ず立ち寄っています。台湾料理を研究していくうちに、どんどん台湾が好きになっていきました」 看板メニューは、台湾で親しまれている大衆料理の魯肉飯(ルーローハン)。甘辛いスパイシーな醤油タレに漬け込まれた豚肉と卵をご飯の上に乗せた丼もので、上薗氏の作る一杯には、ほんのり辛い高菜漬けも添えられている。追加でパクチーをトッピングすることもでき、それらを思い切り混ぜ合わせるのが、上薗氏おすすめの食べ方だ。 「レシピ本を参考に作って、それからオリジナリティのある味付けにしました。私は生まれも育ちも九州なんで、ウチのは一般的な魯肉飯より甘い仕上がりになっちゃいましたね」 遊び心を忘れずに、自分らしい装いで毎日を楽しむ 上薗氏のお洒落の定義は“ダサかっこいい”。 人によっては“ダサい”と思うデザインの服でも、カッコよく着こなせる人に憧れてきた。 「髪型をご覧の通り、私は人と違うことをしていきたいと思っていて。それはファッションも同じで、遊び心が大切です。でも、仕事中は汚れてもいい服を着ることが多いかな……(笑)」 上薗氏が〈ナイジェル・ケーボン〉と出会ったのは、「新世界 檳榔の夜」だった。今から約5年前のある日に来店されたお客様が着ていた〈LYBRO(ライブロ)〉のオーバーオールに一目惚れして、ブランド名を訪ねたのがきっかけ。すぐに自分用に購入し、今でもさまざまなシーンで着まわしてい 「普段はもちろん、釣りに行く時も穿いていきますよ。ポケットになんでも入れられるし、これを穿いていれば、他の釣り人とファッションが被りませんしね」...
MODERN WORKERS / 新世界 檳榔の夜
「ナイジェル・ケーボン」が考えるモダンワーカーとは、“ワーク”と“ライフ”、その両方にスタイルを持っている人のこと。この連載では、国内のローカルエリアに焦点を当て、各地で活躍するモダンワーカーの日常に迫る。 今回の舞台は福岡県。2003年にオープンした台湾料理店「新世界 檳榔の夜(シンセカイ ビンロウノヨル)」の店長、上薗 哲哉氏を訪ねた。 お客様のサポートに徹して店のファンを増やしていく 上薗氏の理想は、目配り気配りが行き届いた気の利く台湾料理店。長く愛される店を目指して、料理の味だけではなく、店の雰囲気づくりやサービスの質にもこだわる。 「痒いところに手の届く接客を心がけています。例えば、箸を落とされたらすぐに清潔なものと交換するとか、グラスが空になっていたらドリンクを注ぎにいくとか。お客様に店のファンになってもらえるように、もしもスタッフが入れ替わってしまっても、サービスは同じクオリティーでご提供できるようにしたいんです」 失敗の原因を追求し、その度に働き方も改善してきた 上薗氏が料理を始めたのは、「新世界 檳榔の夜」のオープンから。それまでは、同じ系列のバーでバーテンダーをしていた。当時の博多駅周辺では台湾料理専門店は珍しく、オープン直後は来客万歳の状態が続いた。しかし、数年経つと客足が徐々に遠のき、上薗氏は飲食業界の洗礼を浴びることに。 「料理の修行を積んだわけでもなく、最初の1、2年は失敗の連続でした。不味いと言われて、お客様に帰られてしまった経験もありますね。でも、そうやって失敗するたびに、自分の行動を振り返って、少しずつ営業の仕方を変えてきたんです」 アンダーグラウンドな台湾屋台のムードを博多で再現 コンセプトは、台湾の飲み屋街の路地裏にある屋台。博多市警固エリアの住宅街の奥まった一画にあり、店の目印は大通りに配された青いスタンド看板のみ。店の入り口は大通りから横道に逸れた、わかりにくい場所にある。 店内は異国情緒あふれるノスタルジーな雰囲気で、台湾の街並みやカルチャーを感じられるディスプレイに心がおどる。夜になるとカラフルな電飾が輝き、昼間とは違った顔に。スパイシーで香ばしい独特の香りが店内に漂い、まるで現地にいるような気分で台湾料理を楽しめる。 「台湾は活気があっておもしろい。なかでも好きなのは、薄汚れた路地裏エリアで、台湾に行くときは必ず立ち寄っています。台湾料理を研究していくうちに、どんどん台湾が好きになっていきました」 看板メニューは、台湾で親しまれている大衆料理の魯肉飯(ルーローハン)。甘辛いスパイシーな醤油タレに漬け込まれた豚肉と卵をご飯の上に乗せた丼もので、上薗氏の作る一杯には、ほんのり辛い高菜漬けも添えられている。追加でパクチーをトッピングすることもでき、それらを思い切り混ぜ合わせるのが、上薗氏おすすめの食べ方だ。 「レシピ本を参考に作って、それからオリジナリティのある味付けにしました。私は生まれも育ちも九州なんで、ウチのは一般的な魯肉飯より甘い仕上がりになっちゃいましたね」 遊び心を忘れずに、自分らしい装いで毎日を楽しむ 上薗氏のお洒落の定義は“ダサかっこいい”。 人によっては“ダサい”と思うデザインの服でも、カッコよく着こなせる人に憧れてきた。 「髪型をご覧の通り、私は人と違うことをしていきたいと思っていて。それはファッションも同じで、遊び心が大切です。でも、仕事中は汚れてもいい服を着ることが多いかな……(笑)」 上薗氏が〈ナイジェル・ケーボン〉と出会ったのは、「新世界 檳榔の夜」だった。今から約5年前のある日に来店されたお客様が着ていた〈LYBRO(ライブロ)〉のオーバーオールに一目惚れして、ブランド名を訪ねたのがきっかけ。すぐに自分用に購入し、今でもさまざまなシーンで着まわしてい 「普段はもちろん、釣りに行く時も穿いていきますよ。ポケットになんでも入れられるし、これを穿いていれば、他の釣り人とファッションが被りませんしね」...
MODERN WORKERS / NIGEL CABOURN THE ARMY GYM OKA...
「ナイジェル・ケーボン」が考えるモダンワーカーとは、“ワーク”と“ライフ”、その両方にスタイルを持っている人のこと。この連載では、国内のローカルエリアに焦点を当て、各地で活躍するモダンワーカーの日常に迫る。 今回の舞台は岡山県。2017年にオープンした「Nigel Cabourn THE ARMY GYM OKAYAMA STORE(ナイジェル・ケーボン・アーミージム岡山店/以下、岡山店)」のサブマネージャー、奥村 裕幸を訪ねた。 自分が愛用してはじめて、その服の魅力を伝えられる 〈ナイジェル・ケーボン〉のアイテムは、あたりが付いたり色落ちしたり、着るたびに生地の表情が変わっていく。細かいディテールやサイズ感にもこだわっていて、特徴を語り出すとキリがない。そうした豊富な語りどころを、漏れなく説明できるように、奥村には実践していることがある。 「入社してから、〈ナイジェル・ケーボン〉の服ばかりを買っていて、着込んだ時の風合いを自分で確認しています。買えなかったアイテムは、必ず試着をして、サイズ感や着心地をお客様に説明できるようにしています。着てみて気付くことってたくさんあると思うんですよ。で、その発見をお客様にお伝えするのが、また楽しい。とにかく接客が好きなんですよね」 アイテムに詰め込まれたこだわりに心を奪われた 奥村はアパレル業界というよりも販売員に憧れて、この道を選んだ。工場勤務から転職して6年目、ファッションについてのイロハは、〈ナイジェル・ケーボン〉で培ってきた。 「年々ブランドに対する愛は大きくなっています。ウチだからこそできるヴィンテージに忠実なデザインや縫製、染色に、男心をくすぐられます。他にはないってところがいいんですよね」 奥村が〈ナイジェル・ケーボン〉にのめり込んだきっかけは、ディレクター、ナイジェル・ケーボンとの出会い。同氏が岡山店に視察へ行った際、たまたま2人は同じデニムのオーバーオールを着ていた。 「当時、私は入社して3ヶ月の新入社員でした。ナイジェルはオーバーオール姿の私をみて、私をスタッフだとは知らずに、一緒に写真を撮ろうと誘ってくれたんです。その時、オーバーオールについて熱心に説明をしてくれたのが印象に残っています。彼の服に対する愛情が伝わってきて、それまで以上に〈ナイジェル・ケーボン〉を好きになったんです」 クローズ中に現れるシャッターアートがイチオシ 〈ナイジェル・ケーボン〉の各店は、ヴィンテージの什器を使ったイナたい内装だが、岡山店にはクリーンな雰囲気が漂う。2階建ての店内は、レディースとメンズでフロアが分かれており、ラインナップもクラシックなアイテムが多い。〈ナイジェル・ケーボン〉のエキスパートはもちろん、ビギナーや女性も立ち寄りやすい。2017年のオープン以来、ミリタリー、ワークのほか、トラッド好きのお客様に支えられている。 「岡山店ならではの見どころは、お店がクローズする時に下ろすシャッターです。ナイジェルのイラストが大きく描かれていて、私がお店の中で一番好きなところでもあります」 お客様の好みを尊重しつつ、正直な意見も伝える 奥村のモットーは、お客様に対して誠実でいること。売り上げを伸ばす接客ではなく、お客様に満足してもらう接客。後悔のない買い物になるように、自分の意見を正直に伝えることを約束事にして、お客様との信頼関係を育んできた。 「何でもかんでも似合っているとは言いません。もし、お客様が選ばれたサイズが大きく見えたら、ワンサイズ落としたものも試着するようにお勧めします。その時、小さいサイズの方がいいと決めつけた提案をしないように、お客様の好みを尊重することもマイルールのひとつです」 理想のシルエットを追求しオーバーサイズにも挑戦く...
MODERN WORKERS / NIGEL CABOURN THE ARMY GYM OKA...
「ナイジェル・ケーボン」が考えるモダンワーカーとは、“ワーク”と“ライフ”、その両方にスタイルを持っている人のこと。この連載では、国内のローカルエリアに焦点を当て、各地で活躍するモダンワーカーの日常に迫る。 今回の舞台は岡山県。2017年にオープンした「Nigel Cabourn THE ARMY GYM OKAYAMA STORE(ナイジェル・ケーボン・アーミージム岡山店/以下、岡山店)」のサブマネージャー、奥村 裕幸を訪ねた。 自分が愛用してはじめて、その服の魅力を伝えられる 〈ナイジェル・ケーボン〉のアイテムは、あたりが付いたり色落ちしたり、着るたびに生地の表情が変わっていく。細かいディテールやサイズ感にもこだわっていて、特徴を語り出すとキリがない。そうした豊富な語りどころを、漏れなく説明できるように、奥村には実践していることがある。 「入社してから、〈ナイジェル・ケーボン〉の服ばかりを買っていて、着込んだ時の風合いを自分で確認しています。買えなかったアイテムは、必ず試着をして、サイズ感や着心地をお客様に説明できるようにしています。着てみて気付くことってたくさんあると思うんですよ。で、その発見をお客様にお伝えするのが、また楽しい。とにかく接客が好きなんですよね」 アイテムに詰め込まれたこだわりに心を奪われた 奥村はアパレル業界というよりも販売員に憧れて、この道を選んだ。工場勤務から転職して6年目、ファッションについてのイロハは、〈ナイジェル・ケーボン〉で培ってきた。 「年々ブランドに対する愛は大きくなっています。ウチだからこそできるヴィンテージに忠実なデザインや縫製、染色に、男心をくすぐられます。他にはないってところがいいんですよね」 奥村が〈ナイジェル・ケーボン〉にのめり込んだきっかけは、ディレクター、ナイジェル・ケーボンとの出会い。同氏が岡山店に視察へ行った際、たまたま2人は同じデニムのオーバーオールを着ていた。 「当時、私は入社して3ヶ月の新入社員でした。ナイジェルはオーバーオール姿の私をみて、私をスタッフだとは知らずに、一緒に写真を撮ろうと誘ってくれたんです。その時、オーバーオールについて熱心に説明をしてくれたのが印象に残っています。彼の服に対する愛情が伝わってきて、それまで以上に〈ナイジェル・ケーボン〉を好きになったんです」 クローズ中に現れるシャッターアートがイチオシ 〈ナイジェル・ケーボン〉の各店は、ヴィンテージの什器を使ったイナたい内装だが、岡山店にはクリーンな雰囲気が漂う。2階建ての店内は、レディースとメンズでフロアが分かれており、ラインナップもクラシックなアイテムが多い。〈ナイジェル・ケーボン〉のエキスパートはもちろん、ビギナーや女性も立ち寄りやすい。2017年のオープン以来、ミリタリー、ワークのほか、トラッド好きのお客様に支えられている。 「岡山店ならではの見どころは、お店がクローズする時に下ろすシャッターです。ナイジェルのイラストが大きく描かれていて、私がお店の中で一番好きなところでもあります」 お客様の好みを尊重しつつ、正直な意見も伝える 奥村のモットーは、お客様に対して誠実でいること。売り上げを伸ばす接客ではなく、お客様に満足してもらう接客。後悔のない買い物になるように、自分の意見を正直に伝えることを約束事にして、お客様との信頼関係を育んできた。 「何でもかんでも似合っているとは言いません。もし、お客様が選ばれたサイズが大きく見えたら、ワンサイズ落としたものも試着するようにお勧めします。その時、小さいサイズの方がいいと決めつけた提案をしないように、お客様の好みを尊重することもマイルールのひとつです」 理想のシルエットを追求しオーバーサイズにも挑戦く...
- SS24 HIGH SUMMER COLLECTION -
《 SS24 HIGH SUMMER COLLECTION 》Nigel Cabourn直営各店 & ONLINE STOREにて販売中 . . . オープンカラーシャツ - レーヨンサルファーダイ / OPEN COLLAR SHIRT - RAYON SULFUR DYEItem No. 80480011200Colour : Dark Navy /...
- SS24 HIGH SUMMER COLLECTION -
《 SS24 HIGH SUMMER COLLECTION 》Nigel Cabourn直営各店 & ONLINE STOREにて販売中 . . . オープンカラーシャツ - レーヨンサルファーダイ / OPEN COLLAR SHIRT - RAYON SULFUR DYEItem No. 80480011200Colour : Dark Navy /...
MODERN WORKERS / PLAIN JANE JONES
「ナイジェル・ケーボン」が考えるモダンワーカーとは、“ワーク”と“ライフ”、その両方にスタイルを持っている人のこと。この連載では、国内のローカルエリアに焦点を当て、各地で活躍するモダンワーカーの日常に迫る。 今回の舞台は岡山県。一昨年オープンした、お茶ができて本が読めて手紙の書ける花屋「plain Jane Jones(プレーンジェーンジョーンズ)」のオーナー、三谷 まいこ氏を訪ねた。 贈り主と一緒に考え、一緒に楽しみながら、花を贈る 三谷氏が「プレーンジェーンジョーンズ」を開いた理由は、花はもちろん、花を人に贈ることも好きだから。ブーケを作るときは、予算や花の種類の希望だけではなく、贈る人と受け取る人の人となりも参考にして、“花を贈る”を特別な体験に変えていく。 「お花を人にあげるのって、楽しいですよね。お客様にもそう思ってもらいたいし、喜んでもらいたいので、ブーケを作るときは、お客様の気分やお相手の人柄なども伺います。ご自宅用のお花をお求めのお客様とは可愛いと言い合いながらお花を一緒に選んでいます」 私も含めた誰かのための3番目の場所になれたらいい 店名の「プレーンジェーンジョーンズ」は、アメリカのラブロマンス映画『クローサー』に出演しているナタリー・ポートマンの役名。映画のストーリーや彼女の役どころが、店づくりのヒントになった。 「私はこの店を私の城だとは思っていないんです。映画に出てくるジェーン・ジョーンズのような、当て所のない感情を抱えている人が気軽に来られる、誰かのサードプレイスになれたらいい。でも、お店もお客様と一緒に変わっていくものですし、お店の在り方にこだわりはありません」 2階の一室だからこそできるオーダーメイドの接客 一般的に、花屋は駅近や路面店など、店内が見えて立ち寄りやすい場所にあるが、「プレーンジェーンジョーンズ」はそうではない。店があるのは、大通りを一本入った細い小道沿いの雑居ビルの2階。しかも、ショップの目印は、シンプルなワイヤーアートが入口に飾ってあるだけ。通りすがりの一見客は、ほとんど立ち寄らない。 店内は、三谷氏のお気に入りの品で満たされている。花のほかに、ご縁でつながった備前焼アーティストの作品や弟からもらったぬいぐるみなど。窓際のソファに座り、本を読んだり花に添える手紙を書いたりすることもできる。誰にも内緒で、こっそり行きたくなるような場所だ。 仕入れの基準は、その花に心が動いたかどうか。ひまわりやバラなど定番品から、人工的に色付けされた花や珍しい品種の葉のもの、近くの河辺で季節の野草を積んで、ブーケに加えることもある。 「買い付けるお花は毎回違うし、だいたい3日間ぐらいで全部売り切れるように仕入れているので、日によってお店の雰囲気はガラッと変わります。回転が早いので、お客様からウチで買ったお花は保ちがいいって褒めてもらえるんですよ。お花がそれぞれのご家庭でも有用であればいいなと思っています」 自分も花屋の一部として身なりや着こなしに気を遣う 三谷氏が市場へ行くのは月、水、金曜日。朝7時に家を出て、日中は接客、花瓶の水替え、注文分のブーケづくり、事務作業など。手が空いたら観葉植物の手入れをしながら、2階の窓際でのんびり風に吹かれる。三谷氏の一日は、あっという間に過ぎていく。 「ステキなお花屋さんを通して、お花に興味が湧くことってありますし、当店の場合はSNSを見て来店される方も多いので、そのイメージを崩さないためにも身なりや着こなしには気を使っています。それにブーケ作りには、自分の内面も反映されてしまうので、気分良くいられる服装でいることって大切なんですよね」 軽さと心地よさにこだわりプライベートでもフル活用 クローゼットのなかには、仕事着と食事用のドレスしか入っていない。好みの洋服はミニマムで着心地のいいもの。お洒落はオンオフ兼用で楽しんでいる。 「洋服は生地の面積が小さくて、軽ければ軽い方がいい! だから襟付きの服は苦手です(笑)。このナイジェル・ケーボンのシャツは、しっとりとしていてサスサス触りたくなっちゃう。営業中はシャツの袖は捲って輪ゴムで固定しています」 この日のボトムスは、〈ナイジェル・ケーボン〉のブリティッシュアーミーパンツ。三谷氏は、肌触りの良い生地でサラッと穿けるところがお気に入りなんだとか。ハサミやペンなど、道具はサロンのポケットに入れているが、作業に没頭するといつの間にかポケットの中は空っぽに。 「手を入れていると安心するので、ポケットのあるパンツっていいなって……あれ、なんでここにボールペンの跡がついてるんだろう(笑)」 ...
MODERN WORKERS / PLAIN JANE JONES
「ナイジェル・ケーボン」が考えるモダンワーカーとは、“ワーク”と“ライフ”、その両方にスタイルを持っている人のこと。この連載では、国内のローカルエリアに焦点を当て、各地で活躍するモダンワーカーの日常に迫る。 今回の舞台は岡山県。一昨年オープンした、お茶ができて本が読めて手紙の書ける花屋「plain Jane Jones(プレーンジェーンジョーンズ)」のオーナー、三谷 まいこ氏を訪ねた。 贈り主と一緒に考え、一緒に楽しみながら、花を贈る 三谷氏が「プレーンジェーンジョーンズ」を開いた理由は、花はもちろん、花を人に贈ることも好きだから。ブーケを作るときは、予算や花の種類の希望だけではなく、贈る人と受け取る人の人となりも参考にして、“花を贈る”を特別な体験に変えていく。 「お花を人にあげるのって、楽しいですよね。お客様にもそう思ってもらいたいし、喜んでもらいたいので、ブーケを作るときは、お客様の気分やお相手の人柄なども伺います。ご自宅用のお花をお求めのお客様とは可愛いと言い合いながらお花を一緒に選んでいます」 私も含めた誰かのための3番目の場所になれたらいい 店名の「プレーンジェーンジョーンズ」は、アメリカのラブロマンス映画『クローサー』に出演しているナタリー・ポートマンの役名。映画のストーリーや彼女の役どころが、店づくりのヒントになった。 「私はこの店を私の城だとは思っていないんです。映画に出てくるジェーン・ジョーンズのような、当て所のない感情を抱えている人が気軽に来られる、誰かのサードプレイスになれたらいい。でも、お店もお客様と一緒に変わっていくものですし、お店の在り方にこだわりはありません」 2階の一室だからこそできるオーダーメイドの接客 一般的に、花屋は駅近や路面店など、店内が見えて立ち寄りやすい場所にあるが、「プレーンジェーンジョーンズ」はそうではない。店があるのは、大通りを一本入った細い小道沿いの雑居ビルの2階。しかも、ショップの目印は、シンプルなワイヤーアートが入口に飾ってあるだけ。通りすがりの一見客は、ほとんど立ち寄らない。 店内は、三谷氏のお気に入りの品で満たされている。花のほかに、ご縁でつながった備前焼アーティストの作品や弟からもらったぬいぐるみなど。窓際のソファに座り、本を読んだり花に添える手紙を書いたりすることもできる。誰にも内緒で、こっそり行きたくなるような場所だ。 仕入れの基準は、その花に心が動いたかどうか。ひまわりやバラなど定番品から、人工的に色付けされた花や珍しい品種の葉のもの、近くの河辺で季節の野草を積んで、ブーケに加えることもある。 「買い付けるお花は毎回違うし、だいたい3日間ぐらいで全部売り切れるように仕入れているので、日によってお店の雰囲気はガラッと変わります。回転が早いので、お客様からウチで買ったお花は保ちがいいって褒めてもらえるんですよ。お花がそれぞれのご家庭でも有用であればいいなと思っています」 自分も花屋の一部として身なりや着こなしに気を遣う 三谷氏が市場へ行くのは月、水、金曜日。朝7時に家を出て、日中は接客、花瓶の水替え、注文分のブーケづくり、事務作業など。手が空いたら観葉植物の手入れをしながら、2階の窓際でのんびり風に吹かれる。三谷氏の一日は、あっという間に過ぎていく。 「ステキなお花屋さんを通して、お花に興味が湧くことってありますし、当店の場合はSNSを見て来店される方も多いので、そのイメージを崩さないためにも身なりや着こなしには気を使っています。それにブーケ作りには、自分の内面も反映されてしまうので、気分良くいられる服装でいることって大切なんですよね」 軽さと心地よさにこだわりプライベートでもフル活用 クローゼットのなかには、仕事着と食事用のドレスしか入っていない。好みの洋服はミニマムで着心地のいいもの。お洒落はオンオフ兼用で楽しんでいる。 「洋服は生地の面積が小さくて、軽ければ軽い方がいい! だから襟付きの服は苦手です(笑)。このナイジェル・ケーボンのシャツは、しっとりとしていてサスサス触りたくなっちゃう。営業中はシャツの袖は捲って輪ゴムで固定しています」 この日のボトムスは、〈ナイジェル・ケーボン〉のブリティッシュアーミーパンツ。三谷氏は、肌触りの良い生地でサラッと穿けるところがお気に入りなんだとか。ハサミやペンなど、道具はサロンのポケットに入れているが、作業に没頭するといつの間にかポケットの中は空っぽに。 「手を入れていると安心するので、ポケットのあるパンツっていいなって……あれ、なんでここにボールペンの跡がついてるんだろう(笑)」 ...
MODERN WORKERS / トライアングルマーケット
「ナイジェル・ケーボン」が考えるモダンワーカーとは、“ワーク”と“ライフ”、その両方にスタイルを持っている人のこと。この連載では、国内のローカルエリアに焦点を当て、各地で活躍するモダンワーカーの日常に迫る。 今回の舞台は岡山県。2016年にオープンした生活道具店「トライアングルマーケット」のオーナー、佐藤 範男氏を訪ねた。 ストーリー仕立ての愉快な接客でアイテムを提案する 意気揚々と買った生活道具を、すぐに使わなくなった経験は、誰しも一度くらいあるはず。しかし「トライアングルマーケット」で買い物をすれば、そんな問題ともオサラバ。オーナーの佐藤氏の軽快なトークは、耳を傾けたくなる実用的な内容で、ライフスタイルにフィットするアイテムをきちんと選べて、自宅に持ち帰ることができる。 「雑貨店にしては珍しいと思いますが、僕の店では接客するのが当たり前。いろんな人が来てくれて、いろんな話ができる。で、どんなストーリーを話せばモノが売れていくんだろうと考えるのが、この仕事の楽しいところ。モノを話のオチに使う感覚というか、お客様と日々の会話をしながら商品の提案をしていくっていう感じです」 人とモノに興味があるから、自分で生活道具店を開いた 佐藤氏は、18歳から接客業に携わっている。古着屋で販売員をして、23歳で工具・DIY・整備用品を取り扱うメーカーに転職した。そこで39歳までキャリアを磨き、独立して「トライアングルマーケット」をオープン。数度の移転を経て、現在8年目を迎える。 「とにかく人とモノが好きなんですよ。で、どうせモノを売る仕事なら、自分も私生活で使えるモノがいいよなって思って。人におすすめを紹介する感覚で、生活道具店を開きました」 自分が使いたいと思える品揃えで、お客様を出迎える 店のある場所は、豊かな自然に囲まれた岡山県玉野市。瀬戸内海に面した潮風の気持ちいい「SEA RAY PARK(シーレイパーク)」内の一角で営業している。ワンフロアの店内にはアイテムが所狭しと並んでいて、気になるものが次々目に止まる。 商品構成は、掃除・洗濯・収納の3つのカテゴリーをメインに、その他生活に必要なモノがセレクトされている。アメリカ、ドイツ、日本のメーカーが多く、主要な品揃えは8年前からほとんど変わっていない。 「洗剤だったらお肌にも環境にも優しいモノ。掃除道具だったら、使いやすいし引っ掛けておいてかわいいモノ。できるだけ、自分で使ってみてよかったモノだけをラインナップに残しています」 主力商品は、売り場の什器としても使用しているイタリアンメーカー、メタルシステムのスチール製ラック。パーツを組み合わせてデザインをカスタマイズできるため、さまざまなシーンにフィットするのが魅力だ。配達、組み立て無料で、可能な限り納品も佐藤氏が引き受けている。 「納品先でもめちゃくちゃ喋ります。店は僕のホームですけど、納品先はお客様のホームですから、本音のニーズを伺えるんですよね。むしろ、現地で喋ったらダメって言われたら行きません。冗談ですけどね(笑)」 働くために都合のいいタフなワークスタイルが制服 佐藤氏の仕事着は、シャツにチノパンやデニムが定番。店頭で作業する時、荷物を運ぶ時、ペンキを塗る時も、いつも通りのワークスタイル。〈ナイジェル・ケーボン〉を着用したその姿は、まさに“働く人”そのものだ。 「上がタイトで下がダボが好きだから、シャツはジャストサイズ。〈ナイジェル・ケーボン〉のシャンブレーシャツもずいぶん着ています。動きやすいように、パンツはオーバーサイズを選んでいて、するとウエストが大きくなるから、サスペンダーでパンツを吊るんです。ウエストに手を入れておくとラクでいいから、気がついたら、よくやってますね(笑)」 趣味もワークスタイルで楽しんで仕事につなげていく 基本的に、夜は21時30分ごろに就寝。朝5時に起きて、洗濯や掃除など家事をする。バイクが好きで、出勤前にツーリングへ行くことも多く、その道中に出会ったバイカーと世間話をしながら、ショップのこともアピールする。バイクにまたがる時も店頭に立つ時と同じワークスタイルだ。 ワークスタイルの他には、キレイめなジャケパンスタイルの日も。佐藤氏にとってファッションは、コミュニケーションツールのひとつなのだ。 「ワークスタイルはカッコいいんですが、キチンと感はない(笑)。品のいいお宅に納品へ伺う時は、ジャケットを羽織っていきますよ。相手に合わせてコーディネートを選ぶのも大切ですよね」...
MODERN WORKERS / トライアングルマーケット
「ナイジェル・ケーボン」が考えるモダンワーカーとは、“ワーク”と“ライフ”、その両方にスタイルを持っている人のこと。この連載では、国内のローカルエリアに焦点を当て、各地で活躍するモダンワーカーの日常に迫る。 今回の舞台は岡山県。2016年にオープンした生活道具店「トライアングルマーケット」のオーナー、佐藤 範男氏を訪ねた。 ストーリー仕立ての愉快な接客でアイテムを提案する 意気揚々と買った生活道具を、すぐに使わなくなった経験は、誰しも一度くらいあるはず。しかし「トライアングルマーケット」で買い物をすれば、そんな問題ともオサラバ。オーナーの佐藤氏の軽快なトークは、耳を傾けたくなる実用的な内容で、ライフスタイルにフィットするアイテムをきちんと選べて、自宅に持ち帰ることができる。 「雑貨店にしては珍しいと思いますが、僕の店では接客するのが当たり前。いろんな人が来てくれて、いろんな話ができる。で、どんなストーリーを話せばモノが売れていくんだろうと考えるのが、この仕事の楽しいところ。モノを話のオチに使う感覚というか、お客様と日々の会話をしながら商品の提案をしていくっていう感じです」 人とモノに興味があるから、自分で生活道具店を開いた 佐藤氏は、18歳から接客業に携わっている。古着屋で販売員をして、23歳で工具・DIY・整備用品を取り扱うメーカーに転職した。そこで39歳までキャリアを磨き、独立して「トライアングルマーケット」をオープン。数度の移転を経て、現在8年目を迎える。 「とにかく人とモノが好きなんですよ。で、どうせモノを売る仕事なら、自分も私生活で使えるモノがいいよなって思って。人におすすめを紹介する感覚で、生活道具店を開きました」 自分が使いたいと思える品揃えで、お客様を出迎える 店のある場所は、豊かな自然に囲まれた岡山県玉野市。瀬戸内海に面した潮風の気持ちいい「SEA RAY PARK(シーレイパーク)」内の一角で営業している。ワンフロアの店内にはアイテムが所狭しと並んでいて、気になるものが次々目に止まる。 商品構成は、掃除・洗濯・収納の3つのカテゴリーをメインに、その他生活に必要なモノがセレクトされている。アメリカ、ドイツ、日本のメーカーが多く、主要な品揃えは8年前からほとんど変わっていない。 「洗剤だったらお肌にも環境にも優しいモノ。掃除道具だったら、使いやすいし引っ掛けておいてかわいいモノ。できるだけ、自分で使ってみてよかったモノだけをラインナップに残しています」 主力商品は、売り場の什器としても使用しているイタリアンメーカー、メタルシステムのスチール製ラック。パーツを組み合わせてデザインをカスタマイズできるため、さまざまなシーンにフィットするのが魅力だ。配達、組み立て無料で、可能な限り納品も佐藤氏が引き受けている。 「納品先でもめちゃくちゃ喋ります。店は僕のホームですけど、納品先はお客様のホームですから、本音のニーズを伺えるんですよね。むしろ、現地で喋ったらダメって言われたら行きません。冗談ですけどね(笑)」 働くために都合のいいタフなワークスタイルが制服 佐藤氏の仕事着は、シャツにチノパンやデニムが定番。店頭で作業する時、荷物を運ぶ時、ペンキを塗る時も、いつも通りのワークスタイル。〈ナイジェル・ケーボン〉を着用したその姿は、まさに“働く人”そのものだ。 「上がタイトで下がダボが好きだから、シャツはジャストサイズ。〈ナイジェル・ケーボン〉のシャンブレーシャツもずいぶん着ています。動きやすいように、パンツはオーバーサイズを選んでいて、するとウエストが大きくなるから、サスペンダーでパンツを吊るんです。ウエストに手を入れておくとラクでいいから、気がついたら、よくやってますね(笑)」 趣味もワークスタイルで楽しんで仕事につなげていく 基本的に、夜は21時30分ごろに就寝。朝5時に起きて、洗濯や掃除など家事をする。バイクが好きで、出勤前にツーリングへ行くことも多く、その道中に出会ったバイカーと世間話をしながら、ショップのこともアピールする。バイクにまたがる時も店頭に立つ時と同じワークスタイルだ。 ワークスタイルの他には、キレイめなジャケパンスタイルの日も。佐藤氏にとってファッションは、コミュニケーションツールのひとつなのだ。 「ワークスタイルはカッコいいんですが、キチンと感はない(笑)。品のいいお宅に納品へ伺う時は、ジャケットを羽織っていきますよ。相手に合わせてコーディネートを選ぶのも大切ですよね」...
MODERN WORKERS / QUIET VILLAGE CURRY SHOP
「ナイジェル・ケーボン」が考えるモダンワーカーとは、“ワーク”と“ライフ”、その両方にスタイルを持っている人のこと。この連載では、国内のローカルエリアに焦点を当て、各地で活躍するモダンワーカーの日常に迫る。 今回の舞台は岡山県。2001年にオープンしたカレー専門店「QUIET VILLAGE CURRY SHOP(クワイエットビレッジ カレーショップ)」のオーナー夫婦、大岩 峰男氏と素子氏を訪ねた。 自分たちが、毎日食べたいと思えるカレーを目指して 日々の食事が、心と体をつくる。大岩夫婦は、自分たちが毎日食べられるカレーを目指して、20年以上キッチンに立ってきた。常連に気付かれないように少しずつアップデートを重ねて、スプーン一杯で感じられる幸せを追求してきた。 「ポストカードに書いている“毎日カレーでもいいよ”は、私たちの想いそのまま。お客様に愛されるカレーを目指しています」(素子氏) 感動的においしいカレーとの出会いが未来を変えた 今から23年前、京都でインテリアやアパレル業界の職業に就いていた大岩夫婦が、岡山でカレー専門店を開いたきっかけは、ひと皿のカレーとの出会いだった。 「そのカレーは、京都の自宅の近くにあった南アジア・ベンガル地方出身のバングラデシュ人の料理人が営むカレー専門店のもので、全く食べたことのない味だったから、驚くほど美味しかったんです」(峰男氏) 峰男氏は、趣味でスパイスカレーを作るほど大のカレー好き。その店に足繁く通っているうちに、自分もそのカレーを作ってみたくなった。弟子入りを志願すると、カレー店をやるなら教えてくれるとのこと。昔から峰男氏もカレー店を開きたいと思っており、熟考を重ねた上で、素子氏と一緒に彼の店で働くようになった。 「修行したといっても、実際は1ヶ月程度なんですよ(照)。というのも、店主は背中で語るタイプの人で、細かいレシピもなくてね。どんなスパイスを使っているのか知りたくて、スパイスの入った容器を見ても、汚れていたり禿げていたりして文字も読めない。二人とも飲食業界の経験はありませんでしたし、見よう見まねで調理方法を習得したんです」(素子氏) 店の前から店を出るまで“口福”な時間が続く場所 「クワイエットビレッジ カレーショップ」があるのは、岡山駅から路面電車で3駅進んだ城下駅の近く。その駅から南に向かって伸びる、オランダ通り沿いを3分ほど歩くと、食欲をそそるカレーの香りが漂ってくる。 店内はカウンター席のみのコンパクトな空間。アートや音楽に関してのフライヤーが無数に貼られた壁を横目に席へ座ると、客席より一段下がった場所で調理をする大岩夫妻と目線が揃う。 名物はダル、チキン、フィッシュのカレー盛り。岡山産パクチーや華やかなアチャール、スパイスをまぶした茹で卵をトッピングした、贅沢なプレートだ。辛さは自由に選ぶことが可能で、その日の気分や体調に合わせて辛味を調整できるのもうれしい。 カレーを食べる時は、黄色いターメリックライスの土手を崩しながら各種カレーを別々に食べて、まずはそれぞれの味の違いを楽しむ。後半、三種のカレーソースや付け合わせを大胆にミックスすれば、重なりあう香りや旨味が絶妙なハーモニーを奏で、口の中が幸せで満たされる。 自分たちの味を追求して、誰かの元気も作れるように 仕込みは、オープン前とクローズ後に最低一日6時間。営業中は夫婦とスタッフ一人の3名で、提供と接客に全力を注ぎ、忙しいランチタイムを乗り切る。その人気ぶりは店の外に行列ができるほど。岡山から別の土地へ転勤した人や、幼少期からの常連さんなど、20年以上の時をかけて夫婦の作るカレーが誰かの生活の一部になっている。 「会社を午後から早退されようとしていた方が、ウチでランチを食べて、なんだか元気になったと言って会社に戻られたことがありました。仕事終わりに、カレーを持ち帰りたいからと、またウチに寄ってくれて。長い間やっていると、うれしい反応をいただけることもあり、それがやりがいにつながっています」(素子氏) 体になじみ動きやすい、服も飽きないデザインがいい...
MODERN WORKERS / QUIET VILLAGE CURRY SHOP
「ナイジェル・ケーボン」が考えるモダンワーカーとは、“ワーク”と“ライフ”、その両方にスタイルを持っている人のこと。この連載では、国内のローカルエリアに焦点を当て、各地で活躍するモダンワーカーの日常に迫る。 今回の舞台は岡山県。2001年にオープンしたカレー専門店「QUIET VILLAGE CURRY SHOP(クワイエットビレッジ カレーショップ)」のオーナー夫婦、大岩 峰男氏と素子氏を訪ねた。 自分たちが、毎日食べたいと思えるカレーを目指して 日々の食事が、心と体をつくる。大岩夫婦は、自分たちが毎日食べられるカレーを目指して、20年以上キッチンに立ってきた。常連に気付かれないように少しずつアップデートを重ねて、スプーン一杯で感じられる幸せを追求してきた。 「ポストカードに書いている“毎日カレーでもいいよ”は、私たちの想いそのまま。お客様に愛されるカレーを目指しています」(素子氏) 感動的においしいカレーとの出会いが未来を変えた 今から23年前、京都でインテリアやアパレル業界の職業に就いていた大岩夫婦が、岡山でカレー専門店を開いたきっかけは、ひと皿のカレーとの出会いだった。 「そのカレーは、京都の自宅の近くにあった南アジア・ベンガル地方出身のバングラデシュ人の料理人が営むカレー専門店のもので、全く食べたことのない味だったから、驚くほど美味しかったんです」(峰男氏) 峰男氏は、趣味でスパイスカレーを作るほど大のカレー好き。その店に足繁く通っているうちに、自分もそのカレーを作ってみたくなった。弟子入りを志願すると、カレー店をやるなら教えてくれるとのこと。昔から峰男氏もカレー店を開きたいと思っており、熟考を重ねた上で、素子氏と一緒に彼の店で働くようになった。 「修行したといっても、実際は1ヶ月程度なんですよ(照)。というのも、店主は背中で語るタイプの人で、細かいレシピもなくてね。どんなスパイスを使っているのか知りたくて、スパイスの入った容器を見ても、汚れていたり禿げていたりして文字も読めない。二人とも飲食業界の経験はありませんでしたし、見よう見まねで調理方法を習得したんです」(素子氏) 店の前から店を出るまで“口福”な時間が続く場所 「クワイエットビレッジ カレーショップ」があるのは、岡山駅から路面電車で3駅進んだ城下駅の近く。その駅から南に向かって伸びる、オランダ通り沿いを3分ほど歩くと、食欲をそそるカレーの香りが漂ってくる。 店内はカウンター席のみのコンパクトな空間。アートや音楽に関してのフライヤーが無数に貼られた壁を横目に席へ座ると、客席より一段下がった場所で調理をする大岩夫妻と目線が揃う。 名物はダル、チキン、フィッシュのカレー盛り。岡山産パクチーや華やかなアチャール、スパイスをまぶした茹で卵をトッピングした、贅沢なプレートだ。辛さは自由に選ぶことが可能で、その日の気分や体調に合わせて辛味を調整できるのもうれしい。 カレーを食べる時は、黄色いターメリックライスの土手を崩しながら各種カレーを別々に食べて、まずはそれぞれの味の違いを楽しむ。後半、三種のカレーソースや付け合わせを大胆にミックスすれば、重なりあう香りや旨味が絶妙なハーモニーを奏で、口の中が幸せで満たされる。 自分たちの味を追求して、誰かの元気も作れるように 仕込みは、オープン前とクローズ後に最低一日6時間。営業中は夫婦とスタッフ一人の3名で、提供と接客に全力を注ぎ、忙しいランチタイムを乗り切る。その人気ぶりは店の外に行列ができるほど。岡山から別の土地へ転勤した人や、幼少期からの常連さんなど、20年以上の時をかけて夫婦の作るカレーが誰かの生活の一部になっている。 「会社を午後から早退されようとしていた方が、ウチでランチを食べて、なんだか元気になったと言って会社に戻られたことがありました。仕事終わりに、カレーを持ち帰りたいからと、またウチに寄ってくれて。長い間やっていると、うれしい反応をいただけることもあり、それがやりがいにつながっています」(素子氏) 体になじみ動きやすい、服も飽きないデザインがいい...