今回の舞台は岡山県。2001年にオープンしたカレー専門店「QUIET VILLAGE CURRY SHOP(クワイエットビレッジ カレーショップ)」のオーナー夫婦、大岩 峰男氏と素子氏を訪ねた。
自分たちが、毎日食べたいと思えるカレーを目指して
日々の食事が、心と体をつくる。大岩夫婦は、自分たちが毎日食べられるカレーを目指して、20年以上キッチンに立ってきた。常連に気付かれないように少しずつアップデートを重ねて、スプーン一杯で感じられる幸せを追求してきた。「ポストカードに書いている“毎日カレーでもいいよ”は、私たちの想いそのまま。お客様に愛されるカレーを目指しています」(素子氏)
感動的においしいカレーとの出会いが未来を変えた
今から23年前、京都でインテリアやアパレル業界の職業に就いていた大岩夫婦が、岡山でカレー専門店を開いたきっかけは、ひと皿のカレーとの出会いだった。「そのカレーは、京都の自宅の近くにあった南アジア・ベンガル地方出身のバングラデシュ人の料理人が営むカレー専門店のもので、全く食べたことのない味だったから、驚くほど美味しかったんです」(峰男氏)
峰男氏は、趣味でスパイスカレーを作るほど大のカレー好き。その店に足繁く通っているうちに、自分もそのカレーを作ってみたくなった。弟子入りを志願すると、カレー店をやるなら教えてくれるとのこと。昔から峰男氏もカレー店を開きたいと思っており、熟考を重ねた上で、素子氏と一緒に彼の店で働くようになった。
「修行したといっても、実際は1ヶ月程度なんですよ(照)。というのも、店主は背中で語るタイプの人で、細かいレシピもなくてね。どんなスパイスを使っているのか知りたくて、スパイスの入った容器を見ても、汚れていたり禿げていたりして文字も読めない。二人とも飲食業界の経験はありませんでしたし、見よう見まねで調理方法を習得したんです」(素子氏)
店の前から店を出るまで“口福”な時間が続く場所
「クワイエットビレッジ カレーショップ」があるのは、岡山駅から路面電車で3駅進んだ城下駅の近く。その駅から南に向かって伸びる、オランダ通り沿いを3分ほど歩くと、食欲をそそるカレーの香りが漂ってくる。店内はカウンター席のみのコンパクトな空間。アートや音楽に関してのフライヤーが無数に貼られた壁を横目に席へ座ると、客席より一段下がった場所で調理をする大岩夫妻と目線が揃う。
名物はダル、チキン、フィッシュのカレー盛り。岡山産パクチーや華やかなアチャール、スパイスをまぶした茹で卵をトッピングした、贅沢なプレートだ。辛さは自由に選ぶことが可能で、その日の気分や体調に合わせて辛味を調整できるのもうれしい。カレーを食べる時は、黄色いターメリックライスの土手を崩しながら各種カレーを別々に食べて、まずはそれぞれの味の違いを楽しむ。後半、三種のカレーソースや付け合わせを大胆にミックスすれば、重なりあう香りや旨味が絶妙なハーモニーを奏で、口の中が幸せで満たされる。
自分たちの味を追求して、誰かの元気も作れるように
仕込みは、オープン前とクローズ後に最低一日6時間。営業中は夫婦とスタッフ一人の3名で、提供と接客に全力を注ぎ、忙しいランチタイムを乗り切る。その人気ぶりは店の外に行列ができるほど。岡山から別の土地へ転勤した人や、幼少期からの常連さんなど、20年以上の時をかけて夫婦の作るカレーが誰かの生活の一部になっている。「会社を午後から早退されようとしていた方が、ウチでランチを食べて、なんだか元気になったと言って会社に戻られたことがありました。仕事終わりに、カレーを持ち帰りたいからと、またウチに寄ってくれて。長い間やっていると、うれしい反応をいただけることもあり、それがやりがいにつながっています」(素子氏)
体になじみ動きやすい、服も飽きないデザインがいい
大岩夫婦と〈ナイジェル・ケーボン〉の出会いは、「Nigel Cabourn THE ARMY GYM OKAYAMA STORE(以下、岡山店)」がオープンした2017年12月。それ以来、二人は岡山店と共に歴史を重ねてくれている。峰男氏については、手持ちのカジュアルウェアのほとんどが、〈ナイジェル・ケーボン〉のアイテムという。「3年ぐらい前に、ナイジェル・ケーボンのコットンシャツに出会って、それがすごく気に入っていて、色違いで何枚も持っています。今日着ているシャンブレーシャツは、そのシャツに比べると少し大きめ。初めのうちはデカいかな?と思ったけど、アームホールが大きくて腕の上げ下げがしやすいし、すぐに体になじみました」(峰男氏)
仕込みや営業中は、〈ナイジェル・ケーボン〉のニットキャップがコック帽代わり。仕事中の足元は、脱ぎ履きがしやすく、汚れてもいいサンダルを愛用中だ。「気がついたら、キャップは素材や色違いで5つも持っていました。プライベートでも一年中被っています」
汚して洗うを繰り返して、自分色になる白い服が好き
カレーを食べる日は、白い服はNG。そんな常識を覆す素子氏の作業着は、白いフレンチリネンのエプロンと〈ナイジェル・ケーボン〉の白いワイドB-51パンツ。「このパンツはゆとりがあって動きやすいですし、裾は絞って穿くと足捌きもいいから、かなりの頻度で穿いています。でも、白い服をカレー屋で着るなんて、すぐに汚くしちゃうって思いますよね? シミになる前に洗えばいいし、そうして自分だけのパンツになっていくのが好きなんです。実はターメリックの黄色は日光に当てると消えることが多いんですよね」(素子氏)
心と体の健康に気をつけて、お客様の愛に応えていく
大岩夫婦が、あの日食べ続けたいと思ったカレーは、今や誰かも食べ続けたいカレー。ショップに訪れるお客様の愛に応えるべく、二人はこれからもカレーを作り続ける。「ウチのカレーを気に入ってくださっている方が一人でもいらっしゃるのであれば、それにちゃんと応えたい。健康に気をつけて、これからも日々カレー作りのために努力していこうと思っています」(峰男氏)