コレクション: KURE-KAKISHIBU

暮染めとは、日本古来の染色技法である柿渋染めを下地とし、その後に鉄媒染を施すことで色を深化させる重ね染めの技法です。柿渋は渋柿の果汁を発酵・熟成させた天然染料で、豊富に含まれるタンニンが繊維に浸透し、防腐・防水・抗菌といった性質を付与するとされています。 
暮染めでは、この柿渋染めの生地を鉄分を含む水や媒染液に浸すことで、タンニンと鉄が化学反応を起こし、色は赤褐色から黒に近い深い色合いへと変化します。  その色味は夕暮れ時の空に例えられ、わずかに赤みを含んだ黒とも茶とも言えない独特のニュアンスを持つのが特徴です。
さらにこの工程は単なる色変化にとどまらず、染料の定着を高め、生地の耐久性を向上させる役割も担っています。自然由来の素材と手作業による工程、そして天日乾燥による発色など、環境条件に左右されながら仕上がるため、一点ごとに異なる表情が生まれるのも大きな魅力です。
暮染めは、機能性・素材・時間の変化が重なり合うことで成立する、日本の伝統技術の中でも特に奥行きのある染色法のひとつです