Passion
現在のコレクションに関しては、自らのデザインをナイジェル自身がオーセンティックライン(UKコレクション)とメインライン(JAPANコレクション)に振り分けている所が非常に特徴的です。
前者にはハリスツイードやベンタイル、マッキントッシュクロス、オイルドクロスといった英国由来の素材を中心に使用し、マッキントッシュの工場やスコットランドのニット工場等で生産するといった英国が得意とするアイテムを、そして後者には、日本でしか作れない独特の生地、日本でしか実現できない染色や加工技術を活用したアイテムを振り分けることで、全体として、どこにもない独自のコレクションを生み出しています。
英国を初めヨーロッパの生地を使用し、伝統ある英国のファクトリーで生産する最強の製品、オーセンティックライン。
日本を中心に生産されるメインライン、英国を中心としたオーセンティックライン。
優れたビンテージをベースにして、まずデザイン、素材 の概容が決定されます。その後、どちらの国がその生産に相応しいか検討し、各ラインに振り分けます。素材の特徴、歴史と伝統のある工場や 職人、蓄積された 技術が判断基準です。そうした意味で、旧来のライセンサー・ライセンシーの考え方は存在しません。
1970年、私がファッションを学んでいた時代、当時イギリスを代表するワークウェアブランドであったLYBRO(ライブロ)が開催したデザインコンテストに参加し、ワークウェアのオーバーオールをデザインして賞を獲得しました。
それ以来LYBROというブランドは私にとって特別なものでした。そして数年前、偶然にも40年代から50年代頃に作られたヴィンテージのLYBROの広告用ウッドサインが3つ売られているのを見つけました。
リバプールを拠点にした同社がイギリスのワークウェアの重要なブランドのひとつだった頃のものです。
私はそのLYBROのウッドサインを購入しました。私には当時のことがとても懐かしく、この会社がまだ存在しているのかどうかを確認したところ、もう現存していないことに愕然としましたが、改めて私のデザインするワークウェアブランドとして新生LYBROを復刻させることにしました。
Nigel Cabourn