HEMP CHECK、HEMP STRIPE、HEMP HERRINGBONE、今季のOX'ED SILVERが創り出した凄まじい生地の力。
昨年から立ち上がった新レーベルは、ZUKIさんだから出来る創造性と糸の段階からこだわり抜いたコレクション。
国内生産ラインの最高クラスとして、SS24も圧巻の完成度に浸っている自分がいる。
それは、もはや輸入モノでしか見た事がなかったインポートブランド顔負けの質感、糸味、そして重厚さとして私の気持ちを満たしてくれていた。
洋服好きの方には間違いなく伝わる。
そんなピンポイントでニッチなモノづくり。
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ワークスーツラインであるが故に、それらのオーラはスーツとして伝わる事は勿論だが、それを支えるインナーにもZUKIさんの抜かりのないこだわりが存在する。
これから紹介するシャツは、まさにその類。
ルクア大阪店にだけあります。
カタログでも大きくは日の目を浴びておらず、
ずっと寝かしていた最高のシャツ。
OX'ED SILVER FARMER SHIRT TYPE2 HEMP TWILL
No.80480410900
Colour : IVORY / CHACOAL
Size : 46 / 48 / 50 / 52
OX'ED SILVERのキーワードでもある、各時代間の産業革命にフォーカスしたテーマ性から、第1次産業を支え、農業を生業とした労働者が着用していた FARMER STYLE 。
このシャツも、正しくFARMER が作業をする際のインナーに着用されていたプルオーバータイプである。
特筆すべきは圧倒的な生地の力。
古着業界でも人気を博しているブラックシャンブレー、ソルトアンドペッパーをターゲットにした凄みのある生地。
ソルトアンドペッパーは、デニムが生まれた1890年代から存在しワークウェアにも重宝されてきた歴史がある。
第1次産業を舞台にした FARMER シリーズとも時代の整合性もあり、焦点がぶれずリンクしている。
そして、ソルトアンドペッパーの大半は、コットンやウール混率コットンで作られたものは見かけるが、リネンを用いて作られたものは見かけない。
ましてや、近年のMAIN LINEの新素材の発掘から生み出されたヘンプに至っては、まず見かけない。
ZUKIさんは、そのヘンプでそれを作り上げる研究に挑んだ。
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ヘンプを使用した取り組みは、まず糸を作る段階の紡糸から着手し、乾式と湿式の二手の方法から水で湿らせながらヘンプを紡糸していく極めて難易度の高い紡糸方法を選択し、糸作りが始まったという。
次に注力したのは、糸の太さ。
屈強なロープや資材用に使用される15番手を選択した。
その糸を湿式で行う事は業界内でも大変珍しい手法で、撚糸方法から組み立てのあらゆる糸作りの根幹を常々創造しているZUKIさんだからこそ、アイディアある指示が出来た手法である。
そのような資材用に使用されるような糸を製糸する為には、紡糸速度が乾式よりも遅い、ゆっくりと時間をかけて工程を踏まないと形にならない湿式紡糸でないと、衣料用の糸に仕上がらない答えを見つけたというわけだ。
そして、時間をかけて作られたヘンプ糸を、ヘンプキャンバスやヘンプデニムで用いられている双糸使いにするのでは無く、あえて単糸使いにする事にもこだわったと聞く。
あくまで、シャツである事。
シャツであって、ワークパンツまでいかない頑丈過ぎる手前の着地点。
そのために、双糸使いでは生まれない、しなやかさを必要とした単糸使いだと私は理解した。
言葉を並べると、そうなんや。と思ってしまうが実に難しい製織レベルである。
双糸であれば製織の段階で糸に地力があり、途中で糸切れが起こるリスクは緩和されるが、単糸であれば糸へのストレスも多く、ましてやヘンプという扱いが難しいとされる紡績糸となっては糸切れが乱発する。
ZUKIさんの見識を持っても、どこの機屋でも不可能という返答が来た中で、最後の最後で出会った機屋がカタチにしてくれたという。
そこの機屋は、ワークウェアを専門としたパワーマシンを使った分野では無く、ウール×デニムやシルク×デニムといった異素材の掛け合わせという特異且つ繊細な生地を織る事に長けた職人集団で、海外からも高い評価を得ている凄いところだった。
機械のエンジニアを有する環境でもある事から、そういった個性や癖のある素材を、独自のセッティングや目指しいている生地の為に、細やかに調整を行えることで形にしてくれたとZUKIさんは言う。
すごいな、日本は。
世界でも指折りの職人大国だとは聞いていたが、執念の結晶と言って良いのか、つくづく感服させれる。
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色みも最高だ。
まさにソルトアンドペッパー、ブラックシャンブレーだ。
チャコールの経糸にベージュを巻きつけて、横糸にブラックに近いダークカラーを交織させて、この色みの抑揚を生み出している。
聞けばこの糸は先染めだと聞いて驚いた。
反染めであれば、出来上がった生地を染めていくのだが、前述した苦労をかけて製糸した糸から染めて作ったという。
染めたヘンプ糸であれば、糸の太さや重さが均一では無いから、一層この密度でツイルを織るのは難しかったと想像できた。
やはり、すごいあの機屋。
縫製も素晴らしい。
縫い代が細く、ミシンが走る運針もとても細かい。
チャコールであれば分かりにくいが、めちゃくちゃ良い仕事をしている。もう一色のアイボリーは分かりやすいので是非店頭で見て欲しい。
縫い代は太い方が縫いやすいが、その分、濡れた際に水を含み易く、生地は水を含めば弱くなる性質を持っているので、その縫い代が細い事で水が溜まりにくくなり、リスクを軽減できるという。
当時のワークウェアもここまで配慮されたディテールがあるなんて、凄まじいとしか言いようがない。
現代においてもこの生地の厚みをこのレベルで縫製できるところは多くは無く、東北地方の優れたシャツ専用工場で成された技術だ。
ボタンも水牛の角では無く、骨。
骨のボタン(ボーンボタン)なんて、まず聞き覚えがない。
そのボーンボタンをグランドの生地に合わせてチャコールに後染めを施し、そしてそれがムラなく染まりきっていない情緒を残してある。
ボーンボタンは経年していくとプツプツと穴が空いていき、珊瑚礁のような面になっていくのも楽しみの要素。
身頃のイカ胸部分は超高密度のリネンを用いて、それは袖裏の充てまで配されている心配りが素敵すぎる。
ハイデンシティーリネン × ヘンプツイル。
素性の違う" 麻 "同士の見事な掛け合わせ。
顔を作る染め方と縫製の確かな解析、生地の組み合わせ、ZUKI さんマジックが炸裂している。
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今の時期なら朝晩に装い、日中は鞄に忍ばせて羽織物のような感覚で付き合える。
夏以降はショーツに合わすのも良し、重衣料に顔負けしないので秋冬でも重宝する守備範囲の広さはお墨付き。
プルオーバーが故に、女性がチュニックからワンピースの間のイメージで装うのも素敵かと。
よくこの生地でシャツを作れたなぁ…と生地だけを触れば思ってしまうほど、凄みがある生地。
まず、こんなシャツは他には無いだろう。
第一次産業の FARMERS が着用していたであろうワークウェアは所謂、バリバリの労働着。
それこそ、タフで頑丈さが重宝された洋服の時代。
デニムを筆頭にコットンで多用された原案を元に、それらの重厚さを凌駕するヘンプでカタチにすることが出来ればオリジナルを超えられる。
現代では、原案をリプロダクトする事だけでも難しく、機屋や加工工場を探すだけでも一筋縄でいかない狭き門戸を見つけなくてはいけない。
しかし、そのオリジナルを超えるモノづくりをゴールにしているのが、ZUKIさんの凄さだと改めて思わされた。
生地を作る以前の、糸を作る紡糸の段階から追求したモノづくり。
まさにOX'ED SILVER の真髄と言って良い。
SS24における、最高プライスランクのシャツ。
シャツはいくつあっても困らない、洋服好きなあなたのハートに刺さるシャツ。
山内
今回ご紹介致しました、商品はカラー・アイボリーは THE ARMY GYM FLAGSHIP STORE 、Nigel Cabourn ルクア大阪店では両色共に販売中です。
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