【SPECIAL MODEL "OFFICER'S SHOES BY OX'ED SILVER / LAUNCH & ORDER FAIR】
2025.3.29(Sat) - 3.30(Sun)
Nigel Cabourn LUCUA OSAKA STORE
デザイナー 在店時間
3.29(Sat) 11:30-20:00
3.30(Sun) 12:00-16:00
楽しみにしていたイベントが、ここ大阪でも間も無くです。
構想からしばらくを遡る、展示会のある日。
Zukiさんが私に声をかけ、
「今、本気で靴作りを始めている。」
そう言って、数枚の古いレザーシューズが載っている紙を見せてくれ、心躍ったのを今も覚えている。
OX'ED SILVERが立ち上がって早2年、Zukiさんが構築した各年代の産業革命を支えた労働者たちが、いかなるシチュエーションでも着用していた日常に根付いたスーツ、言わば、真のワーキングスーツを世に披露してから、その土台を支えるものとして必要不可欠としていた紳士靴がついに完成したのだ。
それは、OX'ED SILVERの思想を完璧に習った、あらゆる環境下でも、もろともしない屈強な靴づくりを魂を込めて製作出来る職人との出会いによって、Zukiさんが描いた絵がカタチになった。
「GEAR LEATHER」
初めて聞く名前に、ワクワクしながらZukiさんと共に会いに行った。
茨城県は古河市。
都内から2時間以上離れ、私の住まいだと5時間以上も離れたそこは、田園風景をすぐに見渡せるほど静かで、ゆったりとした時間が流れているように感じる環境だった。
そこに工房を構え、たった1人で靴づくりの工程を完成させる、稀有なる職人は太田さんという方だった。
職人と聞くと独特の壁があるイメージを勝手ながらもっていたが、太田さんは気さくにも淡々と靴作りの仕組みを教えてくれる方でどこか安心した。
気さくに何でも答えてくれながらも、ここはこうしておかないといけない。ここの補強は手縫いでないといけない、手でやらないと剥がれやすくなる、この素材を使う以上機械では出来ない、だから手じゃ無いと出来ない。
安藤製靴という歴史ある国内の登山靴メーカーで長年腕を磨いた知見と経験から、そういった裏付けが全ての工程に詰まった説明には唯ならぬ説得力と熱いものを感じ、Zukiさんが生地作りをする際に、紡績の段階から仕上がった糸に対して撚糸回数をどれくらい撚ればイメージした生地になる。というレシピを頭で描ける超人的な組み立てに近いものを私には感じた。
この人なら、Zukiさんが考える、OX'ED SILVERの世界観とデザインされたモデルへの追求を、柔軟に対応出来ると思った。
アメリカの古くは歴史の深いレザータンナーとして知られるWickett&Craig社。
その中でも、靴作りには間違いなく不可能と言われた、"Oil latigo"という屈強な革が存在する。
Zukiさんが描いた靴作りの思想の最たるレザーがこのOil Latgioを使用した靴作りであり、他では出来ないロマンがあった。
そのレザーを使用しての依頼に、太田さんは応えたのだ。
私自身もその半割のレザーを間近で見て触っただけで、ただモノではないオーラをレザーから感じ、確かな重さに、なぞる指が跡を残していくこの感じ、そして所々に顔を出している白いブルーム。
凄まじい油分が入っているという事に一瞬で理解した。
そして、Wickett&Craig社は元々、牛革の原皮メーカーでもある事から某有名なアメリカ靴ブランドが多用するあのレザーもここから仕入れをしているほど由緒のあるタンナーである。
同社が所有しているOil Latigoは、真皮層の中にある銀面をほぼ削らずに使用でき、この銀面がある事で安定したモノづくりを可能にさせる、かなりの上質な原皮だという。
レザーの一端には傷があったり、銀面が削れている場所はあるが、原皮を所有しているが故に最も優れた場所のレザーを使用でき、銀面が残った部分を多く優先的に使用出来るロイヤリティーがある。
銀面が無い場所は使用していると伸びてしまって戻らないとか、モノづくりでは弊害が生む事になるため、銀面が整っているというのはとても重要な点なのだ。
そして、その原皮でタンニン鞣しを行い、染色し、その後に植物性と動物性のオイルを使い分け、45日間もの間、専用の曹で漬け込み油分を浸透させていくという。更には原皮の状態を見て、植物性オイルを何日間延長させるか、動物性オイルを何日間延長させるか、熟練の職人が見極めながら皮を革にさせていく。
その一連の工程は産業革命の時代から変わらないレシピを守り続けているという考えられない手間がかかっていて、聞いてるだけで嬉しくなる。
これほどの油分が入っている革であれば、2年位はオイルやワックスを入れなくても大丈夫と言われていて、だからこそ水気にも強く、そして間違いなく堅牢度を備えていて丈夫。靴である以上、負担がかかることで生まれる履き皺さえも、数日後には消えるほど弾性の力を備えている極めて稀なレザーがこのOil Latigoの凄さだろう。
一方で、そうした特異なレザーであるが故に、曲げることも難儀を極め、複雑に重ね合わせる構造が多い靴作りでは必要不可欠な、仮止めの糊付けさえも張り付かない程のレザーだ。
馬具やベルト、曲げることが容易で無いが為にせいぜいキーケースといった革小物で使用されるのが限界と言われているそれを靴にする。
機械では出来ない。
絶妙な力加減と、必要な根気と忍耐力、そして量産を求めない。
だからこそ、手で無いと出来ない。
そんな買い手が聞けば魂が揺さぶる、多くのシューズブランドが断念した挑戦を、見事に完成させたのである。
【OX'ED SILVER】
オフィサーズシューズ / OFFICER'S SHOES
Item No. 80500462900
Colour : Black / Chestnut
Size : 7 / 8 / 9 / 10
Price : ¥126.500(intax)
靴づくりの工程は見る度に面白かった。
使用するレザーの型取りから裁断、縫う部分はレザーを漉く事から始まり、パーツごとに縫製と糊付け繰り返し、吊り込みが始まると靴づくりの醍醐味が顕になる。成形が記憶するように数週間時間を置き、順にすくい縫い、中ものを詰め、貼り付けたミッドソールの上にアウトソールが合わさり、ヒールを乗せると一気に靴らしい顔に仕上がっていく。
また、使用するインソールも外注はせずに、一枚のヌメ革に手作業で削りを入れ、空いた凹みにウェルトを付けて本来であればミシンで縫うところを手縫いで行っていたり、靴の返りを良くする為にも詰め物のコルクは中に特別な材を挟み、コルク自体の量を最小限に抑える事で履き続けての沈み込みが少なく、サイズ調整で中敷きを入れる必要が無いように計算されている。
中敷きを入れてサイズ感を調整するというのはナンセンスだ。というのが太田さんの強いこだわりで、職人らしい視点が印象的だった。
作り手の呼吸と合わすように走る踏みミシンの音、糊付けの為の下準備と鳴り響くハンマー音、糸が穴を通り抜け成形が始まる期待感、ウェルトを飾る小手使いの圧巻の技巧、一発勝負の出し縫いの迫力。
随所に熱を利用したり、糸の滑りを良くする為に油や石鹸を使い、工程工程に必要な専用の多くの工具は動く指のようで、一つ一つの丁寧な手作業から成る一連の美しい所作は、経験が作るリズムのようで心地良く、人体を支える靴は仕上がっていった。
完成された製品を手に取って、ずっしりとした重厚感のある短靴は、屈強さが見て取れる安心感さえ覚え、加えてとても美しい面の仕上がりに間違いなく気持ちが上がった。
間も無くチェストナットも届き、両色が出揃うだろう。
安定したものをより多く届ける、量が出来ないと工場のラインさえ走らない、そんな量産優先が当たり前の今の時代に、1ヶ月に5足作れるかどうかのペースで、これほどの工程を1人で行い完成にまで漕ぎ着ける、"ワンパーソン"体制。
大半の工程を自身の手で形成させていく、"ハンドソーン仕様"。
そして、正に手縫いですくい縫いを行い、ミシンではできない工程として毎回糸を結びながら縫う事で糸が切れてもほつれることが無く、L字の顔をしたウェルトが、アウトラインから水の侵入を防ぐことで悪天候でも使用可能となる"ノルウェイジャン製法"。
極め付けは、シューズブランドの重鎮に聞いても作れるはずがない、量産の靴工場ではまず扱えないと言わしめた、超絶的に頑丈なオイルレザー、"Latigo"を靴に採用出来たという高い完成度。
どの業界を見ても値上げという原料の高騰による余波は止まることを知らず、靴好きの方には1番に頭によぎるインポート靴の影響は大きいはず。
本作はインポートの一流のレザーを使い、環境変化に対応した仕様で、1人の職人がハンドソーンで最強の雨靴の要素を備えた靴を作り上げ、国内製法だからこそ、将来的な修理にも心配無く対応出来るという安心感を汲み取れば、安易に高価と形容するには勿体無い。
限られた場所で、限られた量の販売及び受注会。
この機会だからこそ、作り手だから分かるお客様それぞれに合わせたピンポイントのアドバイスと、作り手だからこそ伝えられる産みの背景やデザインの思想の根源を耳に出来るチャンスを掴んでほしいと切に思う。
独自の視点で時代の一端をフォーカスし、それにストーリーを纏わせ、ヘンプやリネンといった天然素材を玄人好みの顔つきに毎度変化させる探究心、そしてHALFTEXという新素材までもアップデートを続けた生地作り。
これまでのMAIN LINEだけでも、このように多くの名作を作り出してきたZukiさんのコレクション。
そこに、Zukiさんだからこそ出来るモノづくりの経験値を持って、今出来る最上の工場で、最高の生地を一から作るニッチなコレクションがNigel Cabournの国内生産の最上位ランクとして位置付けるOX'ED SILVERとして誕生した。
そして、今季、完全なるオリジナルのLEATHER SHOESさえも生まれた。
Zukiさんが描くOX'ED SILVERの次のフェーズが間違いなく来ていると私は思う。
山内
オーダーフェアの概要はこちらから↓
SPECIAL MODEL "OFFICER SHOES” by OX'ed Silver LAUNCH & ORDER FAIR
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