今回の舞台は福岡県。2010年にオープンした「Nigel Cabourn THE ARMY GYM FUKUOKA STORE(ナイジェル・ケーボン・アーミージム福岡店/以下、福岡店)」の岡本 瑞生を訪ねた。
販売員として、できるだけカッコいい自分でいる
今年でキャリア8年目の岡本は、3歳児を育てる働くお母さん。思い描く理想の販売員像に近づくために、オンとオフの顔を使い分けて、立ち振る舞いや着こなしに気を付ける。「正直な話、仕事と子育ての両立が難しいと感じることもあります。保育園に子どもを送るだけで疲れますし、楽チンな格好で働きたいとも思います。でも、私の仕事は洋服を販売することなので、お客様からカッコいい!とか参考にしたい!と思ってもらえるように、できる限りのことをしたいんです」
接客中は販売員というより、お客様の友人気分で
岡本は商品説明だけでなく、時には恋愛話や人生相談にも乗りながら、お客様と心の距離を縮めて、一緒にショッピングを楽しむのが持ち味。その接客スタイルは、学生時代に働いていたバーでの経験が活かされている。「バーテンダーとして、カウンター越しにお客さまの話を伺っていたときの感覚は、今でも残っています。なかには、随分と永く通っていただいているお客様もいて。ランチに誘っていただいたり、洋服の展示会に一緒に行ったり、誕生日の時にかわいらしいポーチをいただいたり、プライベートの交流がある方もいます」
言葉だけでなく、売り場でもコーディネート提案
福岡店は九州エリア唯一の直営店で、2019年に大名に移店した。街はセレクトショップや古着屋がひしめき合うお洒落スポットで、老若男女のファッションフリークが集まる。国道に面した入り口は全面ガラス張りになっており、ロンドン店をイメージしたダークグリーンのウィンドウフレームが目印だ。
店内は天井が高いワンフロアで、やわらかい日が差し込む開放的な空間。常連のお客様も多く、アットホームな雰囲気で買い物を楽しめるのが福岡店の魅力だ。
店内に入ってすぐのレディース売り場に目をやると、ハンガーバーにかけられた洋服もコーディネートされていることに気が付く。これは岡本が心がけていることのひとつ。〈ナイジェル・ケーボン〉を物言わぬ接客でお客様にご提案する。「ナイジェル・ケーボンはメンズの印象が強いので、女性にもブランドに親近感を持っていただきやすいように、洋服はコーディネートで見せるようにしています。配置はアイビーやミリタリーなどテーマ別にわかりやすく。月に3回はディスプレイを変えています」
好みの服を体型に合わせて自分なりに着こなす
岡本は身長150cmの小柄な体型を活かした着こなしが得意。〈ナイジェル・ケーボン〉のアイテムを着るときも、独自のルールに従ってコーディネートを考える。「体が縦に長く見えるように、パンツはハイウエストのモデルを選んで、腰の位置を上げています。クルーネックのトップスを着たり、シャツの袖を捲ったり。首元や手首をチラ見せすると、ビッグサイズの洋服も、すっきりと着こなせます。あと、メンズライクな装いの日は、華奢なジュエリーを付けて上品さをプラスします。このリングもお客様とお揃い。ピンクとかハートとか、かわいいものも好きなんですよね」
この日、岡本が着用しているオールドフレンチブラウスは、福岡店の一押しアイテムで、お客様からの問い合わせも多い。「このオールドフレンチブラウスは、無骨さとかわいらしさのバランスがちょうどいいんですよ。一見ガーリーですが、フリルの先が切りっぱなしになっていて。大人の女性もラフに羽織っていただけると思います」
リアリティーを追求した古着ミックスでお出迎え
岡本は上から下まで〈ナイジェル・ケーボン〉で揃えたスタイルだけでなく、古着を取り入れた着こなしで店頭に立つ日もある。「好きな服をナイジェル・ケーボンの服に組み合わせた方が、お客様にとっても自分たちにとってもリアルなコーディネートだからいいんじゃない?って、店長の山本にアドバイスされてから、古着ミックスにも挑戦するようになりました。実際、お客様がナイジェル・ケーボンを着るときは、手持ちの洋服とコーディネートされますし、着まわしの参考なれたらうれしいです」
子育てで広がった視野を接客に活かしていきたい
岡本の目標は、福岡店の認知度の向上。特に女性のお客様に向けてナイジェル・ケーボンを広めていくことを目指して、これからも接客に力を入れていく。「子どもができてから、自分の見る景色も着る洋服も変わってきたんです。娘の保育園で異業種のお母さんたちと出会い、ファッションの世界が広がりました。以前と比べていろんな立場の女性のニーズに寄り添えるようになった気がしていて。お客様には、あの時この服を買ってよかったなって思ってもらえるように、これからも販売員として頑張っていきたいです」