絶対的定番【ARMY CARGO PANTS】をワードローブに必ず備えたい理由

ヴィンテージミリタリースタイルを愛するナイジェル・ケーボンの世界観を牽引する一本のカーゴパンツがある。その名も「ARMY CARGO PANTS」。ブランドが日本に本格上陸して以来、長年にわたって人気を博している定番的なモデルである。一見するだけでは、いわゆる普通の軍パンに映るかもしれないが、そこには数々のこだわりが詰め込まれている。早速その全貌に迫りたい。

本物の機能美を体現したディテールが、日常使いに貢献

ミリタリーウェアに惹かれるのは、そこには研ぎ澄まされた本物の機能が備わっているから。フライトジャケットやダッフルコートなどの例を挙げずとも、ミリタリーウェアが、一般に「機能が形態を規定する」といわれる機能美を体現しているからにほかならない。

カーゴパンツもまた、このような機能美を備えたミリタリーウェアである。とりわけ所持品を携行して歩くという点に特化した機能を備えている点でも、はいてみればおわかりだと思うが、カーゴパンツはまさに「便利な」アイテムだ。

カーゴパンツが備える機能美の数々。
右上/歩く、座る、しゃがむといった、膝関節の広い可動域に対応する2本のダーツ。左上/容量を稼ぎつつも空の際はコンパクトとなるように設計されたタックを装備。前進時に障害物への引っかかりを避けるように、後ろ身頃側に倒されている。また内容物を固定できるコードも装着。右下/裾捌きのためのドローコードは、絞ってはくようなスタイリングでも効果を発揮。左下/前面と背面にサスペンダーボタンが残されており、ベルトレスにしてサスペンダー装着の着こなしも可能。

そしてこの定番モデル「ARMY CARGO PANTS」も、ご多分に洩れず機能的である。ミリタリーファンにはお馴染みのカーゴパンツの名品といわれる、米軍の「M-51」をベースにしながら、いくつかのディテールを変更し、機能性とデザイン性に特化させたモデルに進化させているのだ。

まずは、M-51から引き継いだ機能性を体現するディテールについて。このパンツを象徴するふたつの大きなカーゴポケットは、下肢の動きを邪魔しないように、動かしやすく、面積も大きな大腿部にセット。あるいは、カーゴポケット内のコットンテープは、大腿部に巻きつけることで内容物を固定するために備わっている。

また、サスペンダーボタンやドローコードなどは、着用時の機動性を確保するためのディテールだが、これらを残すことで、現代の着こなしをアレンジする点でも活用できるようになっている。

英国軍のカーゴパンツより流用したフロントポケットは、「ARMY CARGO PANTS」のアイコニックなディテール。

ベースモデルとなるM-51と異なるのは、右フロントに備わる縦長のポケットで、英国軍のカーゴパンツからの流用している。M-51とは異なるヒネリの効いたデザインでもあり、実際に、細長いアイテムを挿入するのにも使えるという機能面でも秀でた存在である。

なお、ダーツがシルエットにもたらす影響について追記したい。膝に入る2本のダーツは、膝の可動域のために入れられた機能的ディテールであり、立ち姿のシルエットに対しては、膝部が前方に突出する“膝抜け”の状態になるため、見ようによっては美的ではない。ただし、M-51が合理主義的な米軍由来と見ると、愛着も湧いてくるだろう。

こうした本格的なカーゴパンツの備える「高い機能性」は、取りもなおさず現代のファッションアイテムとしても有用。ミリタリーディテールが現代にも存分に生きているという証なのだ。

はき込むほどに味わいの出るコットンサテンの素材感

左が新品のコットンサテン生地。光沢感も備わっている。右は8年はき込んだというスタッフ私物。随所にアタリが出て、柔和な素材感に。破れ加減もまた味わい深い。

「ARMY CARGO PANTS」が、ディテールとともにこだわったのが、ファブリックである。

ここにもヴィンテージミリタリーのロジカルな機能性に準じるナイジェル・ケーボンらしさが表れている。

使用しているのは、いわゆるバックサテンと呼ばれる平織りの一種。ベースのM-51とは異なり、タテ糸に36番双糸、ヨコ糸に24番双糸という一般的な生地からすると、少々変則的な組織となる生地を使用することで、1940〜50年代のヴィンテージファブリックのような独特な風合いを実現しているのだ。

左が現在販売されている新品。右が8年はき古したスタッフの私物。グリーンの色調を残しながら、絶妙な色合いに「育っている」。また、普遍的なストレートシルエットは、タイムレスな魅力をもつ。

“はき込むほどに味わいが出る”というような、ヴィンテージ好きにはたまらないファブリックの魅力は、こうしたファブリックへのこだわりによって実現している。

一方で、経年変化を見越した染料選びにもナイジェル・ケーボンのヴィンテージ愛が感じられるだろう。

使用するスレン染料は、酸化が進むことで繊維に定着するという特性をもつ。つまり、時間が経つほどに定着していくということ。また、反応系の染料とは異なり、雨や汗の影響を受けにくいために、赤や黄に変色しにくい特性をもつのもうれしいポイント。

つまり、色が定着しながら、うっすらと落ちていくという、経年変化のための選択。

破れやほつれなどが出てくるのも、経年変化の際の楽しみのひとつ。リペアなどを行なって「育てて」いくのも、こうしたファブリックの醍醐味といえる

男女ではける多サイズ展開と万能シルエット

はくほどに味が出る「ARMY CARGO PANTS」は、サイズも豊富なためにさまざまな着こなしにも対応できる。いわば「自由度の高さ」も魅力的。

ユニセックスに設定しており、26から順に2インチ刻みで40までの6サイズ展開しており、表現したいスタイルに合わせて選ぶことができるのだ。

例えば、ぴったりと着こなすために30インチを一本、ゆるくはくために34インチを一本などといった楽しみ方もできる。

シルエットはご覧のとおり。王道のデザインで汎用性は高い。

シンプルなストレートシルエットは、合わせる足元も選ばない。ブーツからスニーカーまで幅広く対応できるはず。気になるレングスの調整は、ロールアップなどで対応するのも一手だ。

また、男女問わずスタイルを楽しめるという点では、ご覧のようなスタッフのスタリング例も参考にしてみていただきたい。

右/ロングシャツをアクセントに黒いベルトを効かせて。中/グリーン系のトップスとともにセットアップ風の着こなし。各所の白が爽やか。左/定番のシャンブレーシャツに合わせた王道スタイリング。シンプルを愛する人に。
アーミーカーゴパンツ/ARMY CARGO PANTS  通常価格¥38,500(税込)
Item No. 80500050012
Colour:GREEN, KHAKI
https://cabourn.jp/products/80500050012

また、ミリタリー好きに圧倒的に支持されるグリーンのほか、カーキの色バリエーションも、同サイズ展開で用意。グリーン同様、さまざまなスタイルに合わせやすい汎用性を備えている。

「機能を備えた本物のディテール」「経年変化を楽しめるファブリック」「豊富なサイズ展開」と、長く愛するに十分な魅力たっぷりの「ARMY CARGO PANTS」。

手に入れたくなった今こそ、「買いどき」。相棒として過ごせる時間がそれだけ長くなるのだから。色やサイズを吟味して、すぐにでもワードローブに迎えていただきたい一品といえるだろう。

写真=鈴木泰之 構成・文=髙村将司

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