In Depth: the Short Cactus Work Jacket

時折、ナイジェル・ケーボンではメインコレクションの外側から、独自のストーリーを持つ変化球的なアイテムを展開することがあります。
今回は、カクタス柄に身を包んだクラシックなワークジャケットの形をしたヒップレングスのショートカクタスジャケットがその一つです。今シーズンの主なインスピレーションはイギリスのモーターレーシング全盛期から得ており、この卓越したジャケットは1980年代のナイジェル・ケーボンオリジナルのデザインに基づいています。



「古着」の定義は、いくつかのニッチなサブカルチャーを除けば、現在の認識とは程遠いものでしたが、その当時からナイジェルのデザインプロセスは過去から多くの情報を得ており、今日のように、1980年代の彼の多くの作品は、様々な場所で手に取った衣服を現代的に作り直し、時代に合わせ再構築したものでした。

オリジナルのカクタスジャケットは20世紀初頭アメリカの鉱業用のワークジャケットからインスピレーションを得て作られています。同時期の「ブルー・ドゥ・トラバイユ」というフランスの職人が着ていた作業用コートのデザインにも似ていて、アメリカのワークジャケットは着易く耐久性がありました。ボタンは大きく、ポケットは容量がたっぷりで、丈夫な生地は過酷な仕事にも耐えることができました。約1世紀前のヴィンテージジャケットをまだ購入できる(かなり高額ですが)という事実は、これら衣類がどれだけ頑丈かを示しています。





最初のカクタスジャケットは簡単な複製作業だけでなく、クラシックなワークジャケットと19世紀西部開拓時代のコミックのようなパターンを組み合わせ、過去の遺物を即座に新鮮なものへと作り変えました。新しいカクタスジャケットはこれを引き継ぎ、クラシックな形とパターンはそのままに、元々使用されていたウール生地からデニム生地へ置き換えています。

そしてカクタス柄はデニム生地にプリントされているのではなく、日本の工場でジャガード織機を使用し、生地自体に織り込まれているのです。1920年代に設立されたこの小さな工場は1965年からデニムの生産を始めました。それ以来、ヴィンテージ織機の分野と伝統的な染色技術に精通している日本でも有数のデニム工場の一つになりました。



1920年代にカスタマイズされた豊田織機から今季のカクタスジャケットの製造に貢献したジャガード織機まで、これらの歴史的な機械は現代の機械よりもゆっくりと織り上げる為、大量生産された生地と比較すると生地は少し柔らかく、リラックスした感触を齎します。

生地は日本製ですが、ジャケット自体はイギリスのランカシャー州に位置するマッキントッシュの工場で作られています。その名を冠したレインコートだけでなく、ナイジェル・ケーボンのジャケットも定期的に製作しており、昨今のリアム・ギャラガーとのコラボレーションアイテムであるスモックやカメラマンジャケット、そして今シーズンのナムコートを製造しています。この工場の細部へのこだわりはどこにも負けません。ナイジェルと彼のデザインチームは、彼らとペンポケットのステッチやボタンのカスタムまで、どんなに些細なことであろうと緊密に連携し確認し合います。



これはオリジナルの力と合致する(またはそれを超越する)リメイクの稀な例です。形が少し整えられ、生地が変わりましたが、主たる要素はそのままです。英国で作られた、ナイジェル・ケーボン傑作のジャケットです。