1415+2 LIMITED Ⅱ / 山内の視点

 

 

多くのデザイナーズブランドには、そのブランドを象徴とするモデルがある。

マルジェラならハの字ライダース、ヘルムートラングだったらペンキジーンズだし、ドリスヴァンノッテンは花柄の刺繍やグラフィックプリント、ジルサンダーならミニマルなフライフロントの白シャツ…

そういった確固たるものがブランドの輪郭を創り、その顔を見出してきた。

 

" BED SHIRT "

HACKNEY UNION WORKHOUSE におけるそれはこれにあたる。

FISHERMAN COATの人気の影で、昔からずっとクラシックを映してきたものが、このシャツである。

 

 

 

MODEL : BED SHIRT PLANE

COLOUR : IVORY

  

 

真っ先に目につくバンドカラーのデザイン。

イギリスの伝統的なグランパシャツをベースに作られたモデルで、バンドカラーの高さが襟を外しただけでは無い設計があり、トップボタンまで留めれば少しフォーマルに、外して着てもカジュアルとリラックスが良い塩梅に共存し羽織モノにも重宝する万能型。

フロントのフラットパッチポケットは、一般的なフロントポケットよりも少し下にセットされている事で、デザインの重心が下がりシャツ全体の絶妙な顔を形成している。

こういうポケット位置をデザインとして捉え、重視する感覚がセンスというものなんだと改めて思う。

また、このポケット自体の縫製レベルは実に高く、運針スピードの速さからミリ単位で糸が走り、量産品にはない器用さに気づく。

 

 

 

バックヨークの下を抉る、深いインバーテッドプリーツ。

この運動量を完備した深いプリーツが着心地を約束し、背中のデザインを完成させると言って良いほど美しい。

裾脇のショートプラケットの裏側にストックボタンが付属されたセンスも、一般的なものであれば洗濯表示のタグに付けられるものが大半で、そうでは無い、デザイナーの Iggi だからこそ遊びを忘れない嬉しい気の利き様には、なるほどと思わず声が出た。

生地は、イギリスを飛び出しイタリアで発掘された、デザイナーの Iggi が知る最も古いミルの一社から作られた珍しい平織のコットン素材。

ヘリンボーンにも見えてそうで無い、でも織りの立体感が肉眼で分かる、面白い生地。

洗い上がりがとても楽しみな、インポートならではのテキスタイルに期待値は高い。

 

 

 

FITTING SIZE : L

 

 

やはり着ることで分かる、フラットパッチポケットの絶妙な位置。

完全にデザインされている。

ラウンドした裾のラインが何とも柔和な輪郭を作り、袖口は可愛げのあるショートカフス。

前立ては太く、凛々しく、脇口のショートプラケットもデザインが活きている。

 

ディテールを端から追っていく、楽しみを与えてくれる一着。

 

 

 

前回のBlogに登場した、CALAB POCKET JACKET との合わせ。

前身頃と後身頃にエッジが効いたデザインのあるジャケットに、計算され尽くした裾が少し顔を出す。

曲線美を堪能できる一体感に包まれたスタイリング。

そして洋服全体から醸し出すオーラは、シャツ、ジャケットと共にブレない英国製の美。

 

例年よりも涼しく、まだ半袖一枚で出歩かないといけない暑さでは無いのが喜ばしい今年。

本来の5月らしい柔らかな日差しと涼しい風の中、気持ち良く装えるブランドを代表するシャツです。


 

 山内

 

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