ナイジェル・ケーボンにしか生み出す事ができない【RAILMAN DENIM PANTS】

2023.08.22

ヴィンテージのデニムを徹底解析して現代に蘇らせたスペシャルファブリックです。

このファブリックの凄まじい点は、明らかに一見で、糸やファブリックに対する知識が皆無であっても、違いがはっきりと判る点です。

例えば、本ファブリックと普通のデニム生地を、10センチ四方程度の四角にカットして、それぞれ10枚ずつ用意したとしましょう。その後、同じ種類の生地でふたつに分けてください、とお願いしたとしましょう。誰もが、簡単にふたつに分けられるはずです。
本ファブリックと、普通のデニムに。

縦方向に、明らかに普通のデニムとは異なる複雑で豊かな凹凸が存在しています。これは、タテ糸に6番、7番、8番の異番手をランダムにかけているからです。タテ糸は織物の根幹とも言える部分です。同番手の糸をできるだけ長くかければ安定した大量生産が可能です。
理由は、単純な話、織物は縦方向が長いから。例えば1反、と言った場合、縦方向の長さは大凡30から50メートルです。ヨコは70から150センチ程度くらいまで。織機の規格によって色々ありますが、タテ方向はヨコ方向に比べれば断然長いのです。そのためタテ糸を固定しておき、数反織り上げた後にヨコ糸を細番にすることで、今度は最初の数反より薄い生地を、また複数反織り上げる事ができます。

私たちは、ヴィンテージデニムの中で、この法則をまるっきり無視したものに出会いました。そのデニムが上記のように異なる異番手をアトランダムにかけたものだったのです。異常とも言える設計ですが、そこには大戦下の物資不足がありました。同番手の安定した糸をかけるべきところを、取り敢えず入手した異番手を端から順次かけて行ったというわけです。言わば苦肉の策でしたが、生まれ出た製品は他とは全く異なった表情を持っていました。基本設計が異なるので、当たり前と言えば当たり前ですが、フラットで均一な普通のデニムとは全く違う、豊かな膨らみ、自然な凹凸、立体的な構造となったのです。

大戦下に生まれ、やがては均一化と大量生産の波にのまれてほんの短い期間しか存在しなかった、幻のようなデニム。一旦は失われ、ヴィンテージが存在するのみとなったファブリックを私たちは現在に蘇らせました。

ここに購入時期、着用頻度も違うレイルマンデニムがあります。
一番右のレイルマンデニムのように洗濯を行っていくことで、全体的に均等に色落ちが起きていることがわかります。着用頻度や洗濯の回数などを変えるだけでヒゲやアタリにここまで違う色落ちが楽しめるのもまたデニムの魅力です。

 

インディゴはインド藍を使用しています。
インド藍を用いた染色の最大の特徴は、本製品のような黒みがかったブルーに染まる事。このカラーを再現するために、ケミカル染料と硫化染料を組み合わせている製品も実は存在します。なかなかたいした技術で、店頭に並んでいる時は見分けがつかない場合があります。ただし、履き込む程に化けの皮は剥がれますので、長年の愛用には向きません。また、ヨコ糸にベージュの先染め糸を打っています。これにより組成での豊かな表情に加え、カラー面でもまた積層的な広がりが付与されています。
これは元々欧州のヴィンテージデニムに用いられている手法を応用したものです。米国の場合、タテはロープ染色で行うのが通例ですが、欧州の場合はタテ糸をかけた状態での染色、即ちタテ捺染がしばしば使用されました。ただし、タテ捺染は濃度を上げにくく、ダークネイビーに染めることが困難でした。いわゆる濃度限界です。そこで、ヨコ糸に色糸を使うことで、少しでも全体を濃く見せようとする試みがなされました。

本製品は過去に存在したテクニックを複合的に積み重ねる事で稀少な表情を持つファブリックに織り上げているのです。ヨコ方向にナチュラルな段差が確認できます。製品によってヨコ段の現れ方はまちまちです。
これは、製織の際、昔の力織機のテンションを再現するために製織速度を約70%まで落として織っているからです。


入手不可能な糸であれば、作るしかありません。
幸い私たちは、糸そのものから作り始めて、それが故に最終的には何処にもない製品を生み出す事には慣れています。
それは膨大な時間と多大な労力を注ぎ込む事ではあるのですが。

デニムそのものは、本当にポピュラーで、何処にでもある存在です。
たかだか、デニム。
しかし、これがナイジェル・ケーボンにしか生み出す事ができない【RAILMAN DENIM PANTS


こちらは購入時期2022年9月頃(約1年着用)、着用頻度週4回、洗濯回数0回のレイルマンデニムパンツ。膝裏にはハチノスがくっきりと表れています。ロールアップして履いていた際の織キズもでき、愛着もより一層強くなります。

実際に履いてみるとその大きさに驚かされると思います。まずは普段のサイズ選びの概念は捨ててください。シルエット、ベルトorサスペンダーで吊るすのか、またどのように育てていくのかを考え、サイズをお選びください。ここが一番難しくもあり、楽しくもあり、苦悩する場面です。

ベルトで履くのも良し、サスペンダーをするなら少しゆとりがあるほうがタックインをした際にごわつきも少なく履きやすくなります。今回はT-SHIRTで合わせておりますが、秋冬はニットやスウェットなど生地の厚い物もタックインすることを想定したサイズ選びも肝になります。

一緒に時間を共にし、このRAILMAN DENIM PANTSは人が年齢を重ねるのと同じように深みがでてまいり、履いた人のライフスタイルで擦れ方や、アタリの出方も変わります。デニムの魅力の経年変化を楽しんで、自分だけの特別な一本に育てていってほしいアイテムです。

レイルマンデニムパンツ / RAILMAN DENIM PANTS
Item No.80020050025
Colour : INDIGO,GREEN

 

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