Nigel Cabourn x Liam Gallagher コラボレーションアイテム発売

Nigel Cabourn x Liam Gallagher コラボレーションアイテム発売
             LIAM GALLAGHER in collaboration with NIGEL CABOURN 



 リアム・ギャラガーとナイジェル・ケーボンは、二人とも英国北部出身で、それぞれのフィールドで活躍しているというだけではなく、ミリタリースモックに対する情熱という共通点があります。
 90年代初頭にOasisの一員として活躍し、ソロアルバム”Why Me? Why Not”を発売したばかりのリアムは、人が羨むほどのジャケットやアウターウェアのコレクションを所有しています。

 かつて所属していたバンド時代にマンチェスターの工業地帯で撮影された35mmの白黒写真を始め、現在のソロツアーの写真までも、フードスモックを着ていない彼が写っていることは大変珍しいことです。





 ナイジェルは70年代後半からスモックやミリタリーウェアのことばかりを考え、収集し、デザインしてきました。1979年にポール・スミス氏から贈られたヴィンテージの英国空軍(Royal Air Force)のジャケットたちが、大きな転機となったと言えます。スモックに関してはシンプルに説明すると、「リアムが着る・ナイジェルが作る」ですから、ケーボンファンであったリアムがツアー用に何か作れないか?とナイジェルにアプローチした際、このクラシックなガーメントを元に新しいウェアを作ることになったのはとても自然なことでした。そしてこのリアム・ギャラガー x ナイジェル・ケーボンのロングスモックとリバーシブルスモックが誕生しました。


 「スモックは我々の人生を象徴している。私は機能的な服を数十年に渡ってデザインし、リアムは28 年のミュージシャンとしてのキャリアの間、ステージで着るスモックを収集し続けている。ここは我々が共に情熱を持っている点であり、それが私たちの作り上げたスモックに表されている。」- ナイジェル・ケーボン



 ロングスモックは、ナイジェルのヴィンテージコレクションの中にあった40年代のU.S. Army アノラックがデザインソースです。そのごつごつとした美しさがリアムとナイジェルの目に留まり、カンガルーポケットとオフセンターに配された3つボタンの襟も特徴的です。この際立つ機能的な特徴、理由があってデザインされていることが彼らにとってより魅力的でした。

 少し現代的な要素を足すべく、裾を傾斜させ、全体丈を長くしました。通常のオリーブだけではなく、全5色で展開しています。着脱がしやすいよう、サイドにジップが取り付けられています。また、ワックスコットンコードと木製のボール型の留めも特徴的です。
 

 そしてあのヴェンタイルが使用されています。ヴェンタイルは高密度に織られたコットンで、濡れたときに膨張することで撥水性を持つという、ミリタリージャケットを語るにはたびたび登場するファブリックです。
 リアムが生まれ育ったバーナッジの目と鼻の先に、南マンチェスターがあります。この地でヴェンタイルは開発されました。時は第2次大戦中です。ご存じのとおり英国は海に囲まれています。北海に連なる冷たい海です。ドイツと制空権を掛けて戦ったロイヤルエアフォースの兵士は海上への墜落を何よりも恐れていました。
 それは、ほぼ確実な死を意味したからです。
 
 たとえ無傷で落水したとしても、救命艇がたどり着くまでの間に冷たい海に体温を奪われ蘇生不可能な低体温症に陥るからです。そこで、落水したパイロットの体を、最低20分の間氷のような海水から身を守るスーツの開発に着手しました。パイロットを失い制空権を失う事は、英国の敗北を意味したため、国中の科学者が研究所に集いました。
研究は難航しました。
 ウェットスーツのような生地は航空機の操縦や平時には相応しくなく、高価で特殊な生地は全てのパイロットに支給する事が難しかったからです。
 
 そして研究の結果、天然素材であるコットン100%を原料にし、撚糸(ねんし)と製織のバランスを極めて高いレベルで調整する事で、目的の撥水機能を持つヴェンタイルの開発に成功したのです。
 早速、ヴェンタイル製のスーツはパイロットたちに支給され、落水時の生存率を、それまでのほぼ0%から80%へと驚異的に引き上げたのです。
 これがパイロットの命と、つまりは英国そのものを救ったヴェンタイルの真実です。
 
 50年代初頭には英国空軍のコールドウェザースモックに使用され、1953年にはエドモンド・ヒラリーがヴェンタイルで作られたダウンパーカーを着てエベレストに挑みました。(ナイジェル・ケーボンのエベレストパーカーがインスピレーションを受けています) これでヴェンタイルはただの過去の遺物ではないことはご理解いただけたかと思います。その撥水性と合成繊維よりも“シンプルな”ファブリックであることから、現在もミリタリーウェアやアウトドアウェアに使用され続けています。



 このロングスモックは、イギリスのランカシャーに位置するマッキントッシュ社で生産されています。20年に渡ってアウターウェアを作ってきたこの工場では、ナイジェル・ケーボンのカメラマンジャケットも生産されています。マッキントッシュ社はヴェンタイルの大ファンでもあります。
 「伝統と歴史あるヴェンタイルを使って物作りができることはすばらしいことです。ナイジェルと密に取り組むことで、彼と彼のチームが求めるガーメントになるよう、プロトタイプサンプルに取り掛かります。今回のコレクションはこの通常のプロセスに加え、リアム・ギャラガーの確認も必要でした。」 - マッキントッシュ社 品質管理 ロバート・ボイス

 そして、今回のコラボレーション企画として、もう一型、数量限定のリバーシブルスモックを生産しています。ロングスモックと同様にマッキントッシュ社製です。
 
 

 

 

 ナイジェル・ケーボンの製品は、全てミリタリーやワークのヴィンテージウェアをベースにして生産されています。
 多くのファッションデザイナーが、自身の感性や世界観、そしてトレンドを中心にもの造りをするやり方とは根本的に異なるアプローチです。

 ナイジェル・ケーボンが、ヴィンテージのミリタリーウェアに惹かれているのは素材やデザインの持つ機能性です。戦場に投入され使いやすいデザインはより使いやすく、一方で少しでも使いにくいディテールは容赦なく変更あるいは削ぎ落とされ、究極の機能性がそこに完成されているという考え方です。
 そこにはファッションデザイナー個人の好みやトレンドの入り込む余地はなく、格好の良さや美しさすら考慮されてはいません。

 ミリタリーヴィンテージウェアやそれをベースにしたナイジェル・ケーボンの製品に、そうした「美しさ」があるとしたら、それは、まず機能性が優先された結果、後から付加された機能美に他なりません。

 リバーシブルスモックには、そうしたヴィンテージミリタリースモックの機能的なデザインが巧みに集約されています。片面には大きなジップポケット、もう片面には3つボタンのポケットが配置され、装備品を効率よく収納できるよう考慮されています。ウェスト部分と袖口はぴったりと体に密着させる事ができます。特筆すべきは喉元からフードに連なるディテールです。前身頃から立ち上がったパーツと、ハトメを通したワックスコットンコード、そして更に内側に取り付けられたパーツから構成されています。これは激しい風雨の浸入を防ぎ、着用者の呼吸器系を完全に守るためのデザインです。

 フードの構造もまた特殊です。飾り程度に付けられているそれとは異なり後身頃を大きく抉り、はめ込まれた形状をしています。このフードは実際に被る事、そして被った状態で首の動きを阻害すること無く、着用者が自由に行動できるよう徹底的に考えられたデザインです。

 素材はリップストップ。過酷な環境下にあるミリタリーウェアにとって、多少の生地の裂けなどは付き物ですが、例え一部の破損が生じても一定範囲以上に広がりにくい機能があります。

 ロングスモックとリバーシブルスモック。

 これらナイジェルとリアムのスペシャルなコラボレーションをどうぞお楽しみくださいませ。

 

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