ナイジェル・ケーボン|Nigel Cabourn

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2019 SS

【SS19 MAN】ストール/STOLE - CHECK


平織の極薄生地であるローンにマドラスチェックが乗ったファブリック。
 「マドラス」とは南インド最大級の都市の名前で、1996年「チェンナイ」と改名され現在に至ります。
 かつて大英帝国とも呼ばれた英国は自国領土以外に多くの植民地を所有しており、その最も広大な植民地がインドでした。植民地を効率よく統括するために、交通、産業、軍事などの要地に統括のための拠点を置きました。
 インドにおいてはそのひとつがマドラスでした。
 V字型を成すインドの右側に位置し、ベンガル湾を挟んで東南アジアと向き合い、そのさらに奥には中国大陸を望みます。東南アジアもまた大英帝国によって統治されていましたので、マドラスはそれらの地域とインドを結ぶ航路の要所、窓口として機能しました。後にその地理的な重要性からインドにおける英国海軍の基地が置かれる事にもなります。そして19世紀後半になると英国の産業革命によって飛躍的な進歩を見せた鉄道がインドにも付設される事になります。この鉄道のおかげでV字反対側、すなわち中東やアフリカ側の都市、ボンベイや、ほぼ東南アジアと隣接するカルカッタといった主要都市とマドラスは陸路で繋がる事になり、その都市としての重要性を益々増していく事になります。
 産業が栄え、他国の人が多く自由に出入りする事になる都市では、相応の文化もまた爛熟していきます。インドという母なる大地をベースに英国の文化に染まり、さらに東南アジア、中国と対面し、反対側からは中東、アフリカの遠い影響を受け、独自の文化が育まれました。
 それは既存の異文化が融合し、あたらしい文化を生み出したとも言えるでしょう。
 ただし、植民地に降り立った英国人にとってもその融合は順風満帆であったわけではなく、様々な壁や障害を乗り越える必要がありました。
 そのひとつが熱帯という土地そのものと風土病、マラリア。
 蚊が媒介する、やっかいな熱病に当時唯一効果を認めたのがキニーネでした。ヨモギ科であるキナの樹皮から抽出した苦みの強い天然の薬です。マラリアを畏れる英国人はこのキニーネを大量に溶かしたトニックウオーターを愛飲する事になりました。
 やがて時は流れ、マラリアは1950年代にはほぼ根絶されます。
 そして植民地の歴史も遠く。
 失われた世界。
 ブリティッシュコロニアル。
 それは今でも夏の薫りと共に。
 例えばようやく日の陰った、ホテルのバーでオーダーする極上のジントニック。
 バーテンダーが手に取る、透きとおったブルーのボトル。
 ヴィクトリア女王を拝したラベル。
 ボンベイサファイア。

サイズ
F
カラー
ブルー/イエロー
素材
コットン86% 麻14%
品番
80380060002
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