ナイジェル・ケーボン|Nigel Cabourn

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RED WING collaboration with Nigel Cabourn

2013.01.01COLLABORATION

マンソンブーツ

マンソンブーツの発端はナイジェルが第一次世界大戦当時の英国軍のビンテージコンバットブーツを見つけた事に始まります。

100年前のものとは思えない良好なコンディションで見つかったそのブーツはナイジェルの心をとらえました。過酷な用途を想定され、丁寧に、高いクオリティで作られたそのブーツを、今日の靴として再現したいという思いが彼の中で強まってきました。

そのブーツを基に、それが持つ本来の美点を最大限生かした靴を今日作る事ができるメーカーを考えた場合に、まずレッド・ウィングをおいて他にはない。ナイジェルはそう考えました。レッド・ウィングがアメリカのワークの現場に向けて、極めて耐久性に富む、同時に快適さを損なわない、高い品質の靴を、旧来の製法を頑なに守りつつ製造し続けているからです。

ナイジェルとレッド・ウィングは長年一貫して、各々の分野は多少違っても、その分野のヘリテージを深く掘り下げ、光を当て、ディティールと総合的なクオリティに妥協を許さぬ姿勢において共通点が多く、相互へのリスペクトを持っています。これを通して、両社は親しい関係を続けており、ヨーロッパでは一部の販売網やショールームを共有していますが、定番を核とするレッド・ウィングの商品戦略もあり、コラボレーションの話に至る事はありませんでした。が、このプロジェクトへのナイジェルの情熱はレッド・ウィングをして、今までにないレベルの他ブランドとのコラボレーションに踏み切らせたのです。

今回、ナイジェル・ケーボンがレッド・ウィングとコラボレートしたブーツの第一の特徴はシューラスト(木型)です。このブーツには1960年代後半を最後にレッド・ウィングには使用されていなかったマンソンラストが使用されているのです。

1912年、マンソン博士がワシントンの陸軍学校の軍隊衛生学の教授として就任していたとき、歩兵部隊用ブーツの為に開発したラストがマンソンラストです。彼は4年の歳月をかけて、約二千人もの兵士の足を調べ、数千足の靴のフィッティングについて調査して、このマンソンラストを完成させました。その後ミリタリーブーツのラストとして正式採用され続け、現在でも一部のミリタリーブーツに使用されています。

マンソンラストの最大の特徴は、足の指先の並びに沿うように造られたつま先部の形状にあります。つま先部の中心から親指にかけて大きく膨らむように造られたこのラストは、足先を強く締め付けることがありません。外反母趾やハンマートゥといった、靴が足に正しくフィットしていないことが原因となる病気が起こりにくい形状となります。

マンソンブーツ

また、マンソンラストは、デッドスペースを無くすべく、つま先の長さを最大限短くすることで、ソールや中底、アッパーレレザー等の余分な浪費を防ぎ、靴を軽量化することも考慮されています。

このようにマンソンラストは見た目の美しさよりも、兵士達の足を守ると共に、戦場で求められる機能性を最優先に、その設計を考えぬかれたラストです。

第一次、第二次の両世界大戦においてミリタリーブーツを製造しマンソンラストを自社工場に保有していたレッド・ウィングは、このマンソンラストをワークブーツにも採用していました。

ワークブーツとミリタリーブーツはどちらも足を保護することを最優先に考えてつくれられます。そのため、ミリタリーブーツ用のマンソンラストは、ワーカー達にも広く受けいれられ、数多くのワークブーツに使用されていました。1928年のカタログでは半数以上がマンソンラストでワークブーツが造られ、レッド・ウィングの往年の名作である、ビリーブーツもマンソンラストを使用して造られていましたが1960年代を最後に使用されていませんでした。

ラスト以外にもこのブーツにはユニークな特徴があります。

このブーツにはナイジェルが選んだアーミーグリーンのハリスツィードのライニングが施されているのです。

ハリスツイードは極めて明確な特色を持ち、世界中で高く評価されていますが、残念ながらその「見た目」だけが取り沙汰されているケースは少なくありません。このファブリックの特徴のひとつにケンプが意図的に織り込まれている、という点があります。これについて、「粗野な風合い出しのため」などと説明されている記事がありますが、厳密に言えばこれは正しくありません。確かにそのとおりの風合いを持ちますが、それは後から付与された機能美のような要素であり、ケンプが織り込まれた最大の要因は耐久性の確保にあります。ケンプは染色困難である事と同時に縮絨が効きません。これにより、ピリングの発生とそれに伴う繊維の脱落を防止します。ブラックフェイス種羊毛の持つ性質とケンプの持つ特殊性の相乗効果により対摩擦強度が飛躍的にアップし、ファブリックそのものの剛性が確保されるのです。「親子三代」にわたって着続ける事のできる秘密の一端はここにあります。ガーメント以上に酷使される事も予測されるライニングに英国伝統のハリスツイードを選択した理由のひとつです。

マンソンブーツ

ミッドソールには、アウトソール用に造られたフルベジタブルタンドレザーを使用しています。レッド・ウィング・オリジナルのケミガムコルクソールと組み合わせて使用することで、アウトソールを二重に使用した頑強な造りとなっています。

マンソンブーツ

アッパー・レザーには、ナイジェルが所有する英国軍のビンテージブーツに最も近いレザーをレッド・ウィング社の子会社のタンナーに造ってもらいました。オイルを含んだラフアウトレザーです。ラフアウトレザーとは通常は靴の外側にする革の銀面を、靴の内側にして使用する革のことです。このように内外を逆に使用することで、靴の外側に傷がついても内側にある銀面には傷がつかないため、浸水しにくい靴となります。デザインよりもまず、アウトドアでのヘビーデューティーな用途を考慮された結果なのです。

シューレースを通すアイレット(ハトメ)はライニングに合わせてアーミーグリーンのものを選びました。アイレットのサイズはレッド・ウィング社で通常使用している中でも最大のものにしました。これは特別に太いレザーのシューレースを合わせるためです。ライニング、アイレットに合わせて選ばれた深いグリーンのレザーシューレースは、太く頑丈なもので、レッド・ウィング社のワーク市場向けの耐久テストに合格しています。

マンソンブーツ

この耐久テストは、レザー、コットンなどの天然素材の強度を超えた耐久性を求めており、通常はナイロンなどの化学繊維でなければパスする事はありません。今回、ナイジェルが選んだ特別に太いレザーのシューレースは、驚いた事にこのテストをパスしました。その分、このシューレースが馴染んで、ブーツの紐がスムーズに結べるようになるには時間を要しますが。

このようにこのブーツにはレッド・ウィングのもつポテンシャルがナイジェルによって見事に引き出されています。ナイジェルがミリタリー・ワーク・アウトドア分野に持つ深い造詣と、レッド・ウィングの100年余りのヘリテージが融合したブーツだと言えます。

最後に、余談ですが、マンソン博士は、1923年の関東大震災のとき、アメリカ医療救援機構の将軍として日本へ派遣されています。甚大な被害を受けた東京において、彼達が行った救援活動は数多くの犠牲者を救ったものと思います。彼はこの活動において、日本の政府から勲章を授かりました。また、第二次世界大戦においてもマンソンは多大な功績を残し、英国軍からも勲章を授かっています。

 

コルク・ソールは、20 世紀中頃から80 年代にかけてワークブーツの靴底として最も一般的なもののひとつでした。
樹脂にコルク片を混ぜて軽量性とグリップ性を高めたものです。現在ではウレタンやAVA等の新たな軽量素材が開発され、コルク・ソールを使用した商品も減少。
しかしニトリル・コルク・ソール、ケミガム・コルク・ソールの主素材であるニトリルゴムは自動車部品のオイルシート等にも使われる程高い耐油性があり、
油田地帯で働くワーカー達に最も適したソールとして採用されています。
その重量感ある二トリルゴムの軽量化をはかるため、現在でもコルクを混入したソールを使用し続けています。
マンソンブーツ